パワハラや長時間労働などを強いる企業を選ぶ「ブラック企業大賞2016」のノミネート企業10社が1日、実行委員会によって発表された。
新入社員が長時間労働の末に自殺し、労災認定された電通や、違法残業で書類送検された「和食さと」などを展開するサトレストランシステムズなどがノミネートされた。22日17時まで投票を受け付け、23日の授賞式で大賞が発表される。
ノミネートされた企業は以下の通り。
- エイジス(棚卸し代行業者)
- 電通
- ドン・キホーテ
- プリントパック
- 関西電力
- 佐川急便
- サトレストランシステムズ
- 宗教法人 仁和寺
- ディスグランデ介護(「茶話本舗」FC企業)
- 日本郵便
長時間労働に関する話題が後を絶たない。「ブラック企業大賞」のような形で企業を告発する方法以外に、労働者側が自身の身を守る方法はあるのだろうか。時間外労働の自衛策に関して、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの資格を持つメンタルヘルスの専門家である大美賀直子氏が、All Aboutの『残業で自分を壊すなっ!究極の3大自衛策』で次のようにアドバイスしている。
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時間外労働で気を付けなければならないラインは?
80時間を超える時間外労働で過労死ラインだと言われているが、残業時間が月に100時間を超える従業員のいる会社もある。「残業月100時間超」にピンと来ない人は、「1日8時間労働で月の就業日が20日の場合、毎日5時間を超える残業」と考えてみると分かりやすい、と大美賀氏は述べる。
なぜ長時間残業が問題になっているのかというと、たとえば毎日5時間を超えて残業した場合、睡眠時間が5時間以下になる可能性が高くなり、過労死への危険度が高くなるからなのだという。
長時間残業で自分を壊す前にとるべき3つのポイント
長時間残業でいちばん怖いのは、過労によって健康を壊すこと。しかも過労の渦中にあるときには、自分自身でそのストレスに気付かないことが多いのだという。「最近、残業が多いぞ」と思い始めたら、いつでも以下の3つの自衛策をとれるように、準備を進めておくべきだと大美賀氏は説明する。
1.タイムカードをコピーする
タイムカードをコピーして明確な残業時間の証拠に残すことは、社内外の相談機関に相談する時や会社と交渉する時、法律に訴えることになった時に役に立つ。法律で定められた割り増し手当を含む残業代がきちんと支払われていない「サービス残業」の有無を確認するためにも重要なキーポイントとなる。
2.残業が月に100時間超えたら「医師と面接したい」の一言を
月の残業が100時間を超え、疲労の蓄積が認められる場合には、「医師の面接」を行うことが義務化されているが、本人の申し出によることが原則。社員自らが、「過労によって心身への危機を感じている」と警告することが、長時間残業への歯止めにつながる。
3.労働基準監督署の無料相談を利用する
長時間残業は生命に関わることもあるため、悩みを一人で抱え込まないのが鉄則だが、相談するなら、労働者の味方である相談機関を利用することが大切。経営者が最も恐れる全国の「労働基準監督署」の総合労働相談コーナーを利用してみるよう、大美賀氏は勧める。労働に関することならどんなことでも相談できる。面談も電話も無料で、女性相談員がいるところもあるという。
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