電通に強制調査、過労自殺問題で 労働時間や休日のルールとは

時事通信などによると、東京労働局などが7日、労働基準法違反の疑いで電通本社と3支社を家宅捜索したという。労働時間や休日については、企業が守らなければいけないルールとして労働基準法が定めている。これについて社会保険労務士で、人事・労務問題に詳しい長友秀樹氏がAll Aboutで次のように解説している。

時事通信などによると、東京労働局などが7日、労働基準法違反の疑いで電通本社と3支社を家宅捜索したという。

 

電通では、昨年12月に新入社員が過労で自殺し、今年労災と認定されている。これに関し、電通は任意の立ち入り調査を受けていたが、同局は強制捜査に切り替え、違反があれば書類送検する方針だと報じられている。

 

労働時間や休日については、企業が守らなければいけないルールとして労働基準法が定めている。これについて社会保険労務士で、人事・労務問題に詳しい長友秀樹氏がAll Aboutで次のように解説している。

 

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「労働時間」の基本原則

労働時間は、法律(労働基準法)で上限が定められており、これを法定労働時間という。1週間単位と1日単位で定められ、休憩は、1日の労働時間により長さが決められているという。

 

■法定労働時間
1週間…40時間以内
1日…8時間以内
※特例として、以下の事業については、労働者の数が常時10人未満の場合に限り、1週間につき44時間まで働かせることが認められている

※特例対象事業は商業・理容業、興業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業

 

■休憩時間
1日の労働時間が
6時間を超える場合・・・45分間以上
8時間を超える場合・・・1時間以上
※6時間以下の場合は、休憩なしとすることができる

 

業種や業務の種類によって勤務体制を組める制度も

長友氏によると、業種や業務の種類によっては、一律に法定労働時間の上限を当てはめることがふさわしくない場合もあるので、個々の会社にマッチした勤務体制を組むことを可能にしているという。

 

たとえば、毎月下旬が特に忙しく残業が多いといった業務の場合、あらかじめ下旬の勤務時間や出勤日を増やす代わりに、その他の期間の勤務時間を減らすなどといった形となるのが「形労働時間制」。1ヶ月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、日々の労働時間については、働く人が自分の裁量で決めることができる「フレックスタイム制」という制度もあると長友氏は説明する。

 

さらには、特殊な労働時間制度として、管理者がその労働時間を把握できない場合に、実際の労働時間数と関わりなく原則として所定労働時間働いたものとみなす「みなし労働」や仕事の進め方や時間配分などを働く人の裁量に任せる「裁量労働」もあるという。

 

休日と時間外労働の原則

長友氏によると、法律上、最低限与えなければならない休日を法定休日といい、毎週少なくとも1日、または4週間に4日と定められているという。

 

また法定労働時間(1週間40時間、1日8時間)を超えて働くことを「時間外労働」、法定休日(1週間に1日または4週間に4日)に働くことを「休日労働」という。会社が時間外労働・休日労働を行わせるには、必ず事前に労働者代表と労使協定を結び、労働基準監督署に届け出おかなければならない。この労使協定のない時間外労働・休日労働が法律違反となるという。

 

長時間労働や過重労働による過労死が社会問題になっている昨今、労働者が生き生きと働き、会社の永続的な発展を目指すには、会社と従業員が協力して、より良い労働時間制度を築くことが不可欠だと長友氏は述べている。

 

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