アデランスは14日、投資ファンドのインテグラルの子会社を通じて経営陣による自社買収(MBO)を実施すると発表した。株式上場を廃止して、事業構造の改革と経営基盤の強化を図るという。買収額は1株620円。MBO成立後は、根本信男会長兼社長と津村佳宏副社長の出資比率が合計で50.1%になるという。
MBOとはどのようなものなのか。
**********
MBOとは
MBOは、Management Buy-Outの頭文字をとったものという。
企業の経営陣が、その企業の経営権を取得することを目的として株式を買い取ることをいう。企業の買収手段の一つで、株主からその企業の株式を買い取ることで、企業全体や事業部門を独立させることが目的。
日本では事業再編の一環としてMBOが普及したという。MBOの後に上場廃止に持ち込んで、TOBの防止を意図したケースも見られる。非上場企業となることで、外部の者が株主になることを防げるという。
上場廃止のメリットは
上場のメリットには、
- 広く大勢の投資家から資金を募ることができる
- 知名度がアップできる
といったことが挙げられる。一方、デメリットには、
- 事業資金を出している多くの株主の顔色を伺った経営をしなければならないこと
- 思い切った経営改革がしにくいこと
が挙げられる。
経営のテコ入れをしたい時には、株主の反対にあってしまわぬよう、経営陣自らが株主になることで、事業再編などを進めやすくする。資金力が豊富であれば、敢えて上場を継続して広く一般の投資家から資金調達をする必要はなく、自由度の高い経営を優先的にしたいと考えれば、MBOを選択するという。
投資ファンドが絡むケースも
MBOには投資ファンドが絡んでくるケースが多い。
投資ファンドは、MBOの段階で資金を提供し、その経営陣が経営のノウハウを出す形で参画するという。投資ファンドが経営のノウハウを十分に持ち合わせていない場合もあるが、資金は豊富にあり、効率のよい投資先を探している。また、今までの経営陣がそのまま経営の指揮を採ることで、その後の事業や人事をスムーズに運べるという。
経営建て直しの場面で利用される場合、投資ファンドは資金面でバックアップし、元の経営陣が経営面で思い切った事業展開を行うというようなシナリオが一般的という。
【関連リンク】