京都駅に「1番のりば」が存在せず「0番のりば」があるワケ。謎の理由は“手間だった”から!?
JR京都駅に1番のりばがないのに0番のりばがある理由、15~29番のりばがないのに30~34番のりばがある理由について、「All About」鉄道ガイドの野田隆が解説する。
JR西日本の京都駅北側(烏丸口)にある中央口改札を入ると目の前にホームがある。「0番のりば」だ。ここからは、敦賀方面へ向かう特急「サンダーバード」や寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」などが発着する。ホームの向かい側には別のホームがあるが、それは2番のりば、その先は3番のりば、4番のりばと続いていく。
しかし、1番のりばはいくら探しても見つからないのはなぜだろうか。「All About」鉄道ガイドの野田隆が解説する。
(今回の質問)
京都駅に1番のりばがないのに、0番のりばがある理由は?
(回答)
駅構内には、乗り場番線と運転番線の2つがある。京都駅の場合、これが異なっていて乗務員の中には混乱して間違った案内を乗客に伝えてしまうことがあったため統一。その結果、1番のりばを0番のりばに変更した。
0番のりばはあるけれど、1番のりばはない!?
JR京都駅0番のりば。2番のりばに停車中の電車との間にもう一本線路(通過用)がある。これが1番の線路だ。
実は、駅構内の線路には乗客へ案内する乗り場番線と乗務員などが業務に使う運転番線の2種類がある。これが一致していれば何の問題もないのだが、京都駅の場合は一致していなかったのだ。
1987年(JR発足時)の京都駅構内図。まだ、1番線路があった
古い構内図を見ると、現在の0番のりばは1番のりば、その次は2番のりば、となっている。実際に駅構内を見てみると、0番のりばと2番のりばの間には線路がもう一本敷かれている。これが1番線なのだがホームはない。
これは、京都駅を通過する貨物列車や回送列車が使う通過線で乗客には関係ないが、運転業務には欠かせない。かつては、もう1本通過線があったのだが、0番のりばを拡張するとともに消えてしまった。
JR京都駅1番線を通過中の貨物列車
というよりも旧1番線がなくなり、通過専用の旧2番線が東海道線上り線となったのだ。そのときは、ホームは1番のりば、運転番線が2番線というややこしいことになり、鉄道職員にとっては混乱のもとだった。
そこで、乗り場番線と運転番線を統一することになる。
変更を少しでも減らす窮余の策
JR京都駅の西口改札口。発車案内の番号に1は見当たらない。0、2、3となっている
しかし、通過線を2番線、2番のりばを3番線とすると、あとのホームを全て変更しなくてはならない。在来線は10番のりばまであり、別会社(JR東海)となっている東海道および山陽新幹線(11~14番線)にも影響が及ぶ。それで、旧1番のりばを0番のりばとすることで、変更箇所を最低限にとどめたというわけである。
JR総社駅(岡山県)0番のりばに停車中の吉備線の列車(ディーゼルカー)。隣の1番のりばは倉敷・岡山方面へ向かう伯備線ホーム
0番のりばというのは、全国各地に存在する。やはり、1番のりばの手前に新たな乗り場を設置する必要に迫られたのだが、全てののりば番号を変更するのが手間だったので0番のりばを新設したようだ。
京都駅30~34番のりばができた理由は?
30番のりばに停車中の特急「はるか」。ハローキティをラッピングした人気車両だった
ところで、京都駅の0番のりばホームは日本一の長さ(558m)だが、実際には、大阪寄りの235mは30番のりばとして関西空港行きの特急「はるか」専用となっている。
30番のりばとはいうものの、京都駅には15~29番のりばは存在しない。かつては、大阪寄りのはずれに山陰1、2番として山陰本線専用のホームが存在したが、ホームを増やすにあたり、番号のだぶりを防ぐために通し番号にしたのである。
JR京都駅の西端にある関西空港行き特急「はるか」および山陰線のりば
番号は山陰線専用なので、「さんいん」の「さん」をもじり、分かりやすいように31~34番とし、「はるか」はそのすぐ隣に発着するので30番とした次第である。ちなみに、34番のりばは、日本で一番数字の大きなのりば番号だ(降車専用ホームなので、駅の案内表示に出ていない)。
この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『
ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『
シニア鉄道旅の魅力』『
にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。