炊飯器でいつも「早炊き」を使っています。味や電気代に影響ってありますか?【家電のプロが回答】

便利な炊飯器の「早炊き」機能ですが、味や電気代には何か影響があるのでしょうか。「All About」ガイドで、企業の製品開発のお手伝いやPR支援なども行うコヤマタカヒロが解説します。

炊飯器の「早炊き」、味や電気代への影響はある?
炊飯器の「早炊き」、味や電気代への影響はある?
短い時間でごはんが炊ける、炊飯器の「早炊き」機能。便利な一方、味や電気代への影響は気になるところですよね。実際のところどうなのでしょうか。

「All About」ガイドで、企業の製品開発のお手伝いやPR支援なども行うコヤマタカヒロが解説します。
 

(今回の質問)
炊飯器でいつも「早炊き」を選んでいます。味や電気代に影響ってありますか?

(回答)
早炊きは通常炊飯と比べて水っぽくなったり、甘みやうまみが感じられにくくなります。一方で、電気代はほとんど変わりません。

どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

水っぽく、甘みやうまみが弱い仕上がりになります

炊飯の基本的な工程は、「浸水」「加熱」「蒸らし」の3ステップ。通常の炊飯では、十分に浸水の時間をとることで、ふっくらとした炊き上がりになります。一方で「早炊き」は、高温の水で短い時間で浸水させたり、強い火力で一気に加熱したりすることで、工程自体は変えずに時間だけを短縮する仕組み。一般的な炊飯器の場合、通常炊飯では50~60分かかるところ、早炊きでは15~30分程度となります。

時間という点では便利な早炊きですが、浸水時間が短いため、米の中心部まで十分に水が染み込みにくいという欠点があります。また、強火で一気に炊き上げるため、米粒の外側が先に炊けてしまい、中心部との炊き加減にムラも出やすいです。そのため、通常炊飯で炊いたごはんと比べて粘りが若干少なくなったり、芯が若干残りやすくなっています。また、表面が水っぽく、べたつきやすくなる場合があるほか、デンプンのアルファ化があまりすすまないため、甘みやうまみも弱くなってしまうのです。

一方で、これらの欠点を補うための技術改良も進んでいます。最新の炊飯器では通常炊飯との味の差は以前より小さくなりました。

電気代の違いは誤差レベル

炊飯器の電気代は炊飯時に水を沸騰させるときがピークで、後は保温時間によって変わってきます。これらの工程は通常炊飯でも早炊きでも大きな違いはないため、炊飯にかかる電気代は基本的にどちらもほぼ同じといえます。確かに、早炊きは短時間で炊くため高火力になり、それが電気代に影響することもありますが、1回あたりの電気代の違いは誤差レベルだと考えてよいでしょう。

「早炊き」機能は、朝の忙しい時間帯や急な来客時など、時間に余裕がない場合の強い味方。ただし、ごはんの味を重視したい場合は、通常炊飯がおすすめです。

All About ガイドがすすめる炊飯器:東芝「RC-10ZWW」

 

 

この記事の筆者:コヤマ タカヒロ
1973年生まれ。家電とデジタルガジェットをメインに雑誌やWebなど様々な媒体で執筆するライター。執筆以外に監修やコンサルティングなども行っており、企業の製品開発、人材教育、PR戦略に関するアドバイザーなども務める。米・食味鑑定士の資格を所有。家電のテストと撮影のための家電スタジオ「コヤマキッチン」を用意。
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