日本に住む外国人は、日本に対して日々どんなことを感じ、生活をしているのでしょうか。出身国と日本を比較して異なっていると感じる点など、率直な意見を聞いてみました。
「日本人は、仕事上では進んで他人に介入できる」
今回、インタビューしたのは、インドで生まれ、オーストラリアで育ったという20代のオーストラリア人女性・Reisaさん(仮名)。現在、日本に住んでいます。オーストラリア人と日本人との違いを聞いてみると、「日本人は控えめで、助けを必要としている人がいても進んで助けることをためらうことが多いような印象を受けました。ただ、これは地域によっても違って、意外なことに、東京では困っている人を進んで助ける傾向が強いように感じました」と言います。
オーストラリアでは、「何かに悩んでいる人や、おかしいと思う状況に気付いたら、自分から進んで介入する人が多いように感じる。文化的な違いなのかもしれません」とのこと。
一方で、「日本のカスタマーサービスは、オーストラリアよりもずっと良い」と感じているそうで、「日本では、接客のとき、求めたことや希望以上のことをしてくれます」と言います。プライベートでは控えめで他人への関与をためらう傾向が見られても、仕事上では思い切り他人に介入できる、という日本人も多いのかもしれません。
「外見に気を配ることがアイデンティティになっている」
さらに、Reisaさんは日本人と会話をする中で気付いたことがあるそうです。「日本人は美しさや外見に重きを置いている人が多いと感じます。日本人との会話では、美と外見について話題になることが多く、体重や小顔、他人の服装などにこだわっている印象を受けました。そんな中で、日本人は自分が美の基準に合っていないと思うと、とても不安になるのだと気付きました」とのこと。
続けて、「自分の見た目に気を配ること、自分を大切にすることは悪いことではないと思う。日本人にとっては、外見に気を配ることがアイデンティティーになっているのだ、と感じました」と話してくれました。
「日本に来る人は、みんな日本を好きになる」
Reisaさんに日本の好きなところを聞くと、「日本には誰もが楽しめるものがあると思います。ファッション、食べ物、テクノロジー、自然、文化……。だから、日本に来る人は、みんな日本を好きになります」とのこと。ちなみに、オーストラリアでは、「日本のアニメ、ファッション、J-POP、食べ物が大人気」なのだそうです。お気に入りの日本のブランドもいくつかあるそうで、その1つが『have a good time 』とのこと。『have a good time』は、東京で創設され、スケートカルチャーを含むさまざまなサブカルチャーを背景に持つストリートレーベル。東京の中目黒とアメリカ・ニューヨークにある旗艦店は、オリジナルアイテムのほか、オーナーによって厳選された書籍、音楽、アート、おもちゃ、洋服がそろうセレクトショップです。
さらに、日々の生活面でも「日本では、おいしくない食事はほとんどないし、低価格の割に食事の質と水準がとても高い。電車は多方面にアクセスしやすく、時間通りに頻繁に走っています」と続けました。
日本は「細かいところは進んでいて、重要なところが遅れている」
一方でReisaさんに日本で不便だと感じたことを聞くと、「日本は、細かいところでも非常に進んだ技術が使われています。例えば、音楽が流れて自動で流れるトイレ、缶入りの温かいコーンスープが手に入る自動販売機など……」とのこと。ただし、これらのことは、便利ではあっても“なくても困らない”ことだと考えているようです。「銀行や政府など重要なことに関しては、日本はとても遅れていると感じました。私が日本に引っ越してきたとき、日本の銀行口座を開設することができず、カルチャーショックを受けたし、とても不便でした。全ての手続きは本人が直接行わなければならず、デジタルではなく郵送。書類が即座に処理されなくて物理的に届くのを待たなければならなかったんです」と、Reisaさんが来日したばかりの頃に困ってしまった経験を教えてくれました。
最後に、Reisaさんが好きな日本語のフレーズを聞きました。
「『いつもありがとう!』です。いつもお世話になっている方にお礼を言うなんて、とてもかわいいですね」と話してくれました。日本への愛を持って率直な意見を語ってくれたReisaさん。日本人をよく分析している観察眼に驚きました!
この記事の筆者:福島 ゆき プロフィール
アニメや漫画のレビュー、エンタメトピックスなどを中心に、オールジャンルで執筆中のライター。時々、店舗取材などのリポート記事も担当。All AboutおよびAll About ニュースでのライター歴は5年。