“老後2000万円問題”とは、2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告で話題となった、「老後20〜30年間で約1300〜2000万円が不足する」という試算のこと。2000万円という金額は、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では、支出に対して収入が毎月約5万5000円不足することによって、夫が95歳になるまでの30年間で約2000万円が不足するという試算に基づくもので、必ずしも全ての人が必要になる金額というわけではありません。
しかし、平均寿命が伸び、“人生100年時代”とも呼ばれるこれからの時代を生き抜くためにも「いかに老後の資金を形成するか」が、多くの人にとって重要な課題となっています。
ステラパートナーは、会社員を対象に実施した「老後への備えと資産形成」に関する調査結果を公表。同調査は、全国20~60代の会社員1048人(20代:210人/30代:211人/40代:206人/50代:208人/60代:213人)を対象にインターネット上で実施しました(調査期間:2022年5月12~13日)。
“老後2000万円問題”に対する備え、「まったくできていない」が最多
「まったくできていない」と回答した人からは、「奨学金返済がまだ20年近く残っている。この先結婚などは考えていないが、様々なローンなどを考えると備えられない(20代女性/新潟県)」「40過ぎてから戸建を買ったため、ローンの支払いが長期になるため(40代女性/愛知県)」など、奨学金や住宅ローンの返済があり、老後の備えに回せない、との声がありました。
また、「給料がコロナにより減少し、毎月貯金から持ち出しが続いている(30代男性/東京都)」「今の暮らしで精一杯。貯蓄や投資に回せるほど給料は良くない(30代女性/神奈川県)」「可処分所得が少な過ぎ!! (50代男性/愛知県)」など、手取り収入が少なく余裕がない、との声も集まりました。
「備えができている」人が実践している資産形成の方法とは?
一方、備えができているという人は、具体的にどのような資産形成を行っているのでしょうか。“老後2000万円問題”に対する備えが、「しっかりとできている」「ある程度できている」と回答した人に、具体的な資産形成について聞きました。最も多かった回答は、「普通預金(73.0%)」。次いで、「定期預金(47.3%)」「株式投資(40.3%)」が続きました。
図表にない、「NISA(一般NISA)(23.0%)」以降の資産形成の方法については、「つみたてNISA(23.0%)」「厚生年金保険(22.7%)」「企業型確定拠出年金(DC)(21.9%)」「iDeCo(14.6%)」「国民年金(14.3%)」「確定給付企業年金(DB)(11.6%)」「不動産投資(6.2%)」「国民年金基金(4.3%)」などの回答がありました。
元本割れのリスクがない「預金」で備えている人が多い一方、「株式投資」「投資信託」といった資金運用を行っている人も比較的多く、「厚生年金保険」「厚生年金基金」など、国の社会保障制度によって準備している、または「企業型確定拠出年金(DC)」「iDeCo」のような自己投資型の年金積立制度で準備している人も一定数いることがわかりました。
安定性の高さ? 利回りの高さ? 資産形成で重視するポイント
老後の備えができている人は、資産形成を行う際、どのようなポイントを重視しているのでしょうか。「損をしない・安定性の高さ・節税効果の高さ」を資産形成の重視ポイントとして挙げた人からは、「やっとためたお金を減らしたくない! 安全にしっかりと貯めたい(20代女性/大阪府)」また、「損をしない・節税効果の高さ・運用元の信頼性」を挙げた人からは、「大切に貯めたお金を運用するのに、損は避けたい。だけど、知識もないし、運用してくれる会社の信用性は大切だと思うから(30代女性/埼玉県)」などのコメントが寄せられました。
また、「少額からでも可能か」「節税効果の高さ」を重視すると回答した人からは、「少ない資金でリスクも回避出来ると少しずつ運用も考えられる為(40代男性/福島県)」「大金は回せないから。また利益が出ても税金引かれると痛い(60代男性/東京都)」など、利益に対する税額を懸念する声もありました。
今後、検討している資産形成は? “安定性”重視の傾向?
現在資産形成をしている人、していない人の両方に、今後資産形成を行う際に検討している方法について聞きました。今後検討している資産形成方法についても、元本割れなど“損をしない”ことを重視する傾向が目立つ一方で、多少のリスクがあっても、「株式投資」「投資信託」などによって資産形成を行いたい人も少なくないようです。
※回答者のコメントは原文ママです
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