子ども支援専門の国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」は、2021年1月に全国の大人を対象に体罰等に関する意識・実態調査を、2月に子どもたちを対象に体罰等や子どもの権利に関する調査を実施しました。体罰禁止を盛り込んだ改正児童虐待防止法の施行から1年を迎えるにあたり、どのような意識の変化が現れたのでしょうか。
体罰を容認する大人は約6割から約4割へ
今回の調査結果では、子どもへのしつけのためでも体罰は決してすべきでないとする回答者は58.8%で、2017年と比べ15.5ポイント増加しました。また、子どもへの体罰禁止を規定した改正法が施行されてから約1年が経過しましたが、体罰をすべきでない理由に法による体罰禁止をあげた回答者は2割弱でした。
年代別では、子どもの年齢が比較的高い子育て世代にあたる40~50代で体罰を容認する回答者の割合が高く、20代~50代では年代が上がるにしたがって体罰を容認する回答者の割合が高くなる傾向がありました。
20代に着目すると、「決してすべきではない」(68.5%)と「積極的にすべき」(1.8%)との回答が他の年代と比べていずれも高く、二極化している傾向が見られました。
55.4%が1回以上、子どもをたたいたことがある
過去にしつけの一環として子どもをたたいたことがあるかについては、55.4%が1回以上たたいた経験があると回答。内訳をみると、「日常的にあった」(2.8%)、「時々あった」(26.1%)、「1~2回あった」(26.5%)となっています。
年代別でみると、20代の回答者は全体と比較して子どもをたたいたことが「全くなかった」と回答した割合が高い傾向に。一方、1回以上たたいたことがあると回答した割合が高かったのは40代で、子どもをたたいたことが「時々あった」割合が高く、「全くなかった」という割合が低いことが分かりました。
子どもへのアンケートでは、体罰等を容認する子どもも
子どもへのアンケートでは、体罰等に相当する行為を容認する子どもが一定数いることが分かりました。また、年齢が上がるにつれて容認度が高まる結果となりました。
アンケートでは、約4割の子どもがこれまでに何らかの「体罰等を受けた経験がある」と回答。体罰等を経験したと答えた子どもと比較したところ、経験がないと答えた子どもは、「身近な大人に自分の意見を聴いてもらっていると思う」という回答をしています。
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