「GIGAスクール構想」とは、「Global and Innovation Gateway for All」の略で、「全ての人にグローバルで革新的な入口を」という考えのもと、文部科学省が打ち出した教育政策です。2021年4月から、全国の小中学校で1人1台端末を活用した学びがスタートします。
先端教育機構と同機構出版部が発刊する月刊「先端教育」は3月19日、全国市区町村の教育委員会を対象に行った「オンライン教育アンケート調査」結果の一部(抜粋版)を発表しました。同調査は2021年3月1~16日の期間、WEBフォームにより実施。送付数1741件に対して、313の教育委員会から回答を得ました。
「1人1台端末」の整備状況、3月中に9割の小中学校で完了予定
コロナ禍で「1人1台端末」の整備スケジュールが当初の予定より前倒しとなり、2021年3月中に9割前後と、ほとんどの公立小中学校で完了する見込みです。
アンケート送付数1741件に対して回答数は313件と少なかったものの、文部科学省が3月に発表した「GIGAスクール構想の実現に向けたICT環境整備の進捗状況について(速報値)」でも全自治体等のうち97.6%に当たる1769自治体等で2020年度内に納品を完了する見込みとの結果が出ていることから、今回の9割という見込みは現実的な数であるといえそうです。
iOS・Chrome・Windows……利用されている端末のOSは?
小学校で導入されている端末OSは、iOS・Chrome・Windowsがほぼ同率ですが、中学校ではChromeとWindowsがiOSを上回っています。小学校では、直感的に操作しやすいタブレットを選択する傾向があるようです。
端末の利活用範囲、家庭でも活用する自治体は約3割
端末の利活用範囲については、当面は授業・学校内の活用という回答が半数以上を占めた一方、約3割の自治体が「学校外(自宅等)も含めて活用する」と回答しました。「当面は授業に限定する」は1割に満たず、端末の積極的な利活用に向けて前向きに検討している自治体が多いことがわかります。
「GIGAスクール構想」今後の課題はサポート体制
端末の利活用において課題と考えていることは、「研修・サポート」が最も多く、29.7%を占めました。「教員全員がICT機器の最低限の基本操作・知識を身に着けること」「教員のICTを活用した指導力向上」といった教員の研修、「ICT支援員の確保」など、サポート体制に関する内容を課題としている自治体が多いようです。
次いで、「端末の持ち帰り」と「端末の管理・更新等に関わるコスト」が9.6%となり、今後、学校内だけでなく、端末を家庭学習での利活用に広げていく上での課題が挙げられています。
いよいよ差し迫った「GIGAスクール元年」の幕開け。「誰一人取り残すことのない公正に個別最適化され、創造性を育むICT教育」の実現に向けて、一歩が踏み出されます。
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