主題歌オファーのきっかけは「作品への熱烈な愛」だった
3月9日に宇多田ヒカルが配信リリースした映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のテーマソング『One Last Kiss』が、大きな注目を集めている。
日本のみならず世界18カ月・地域のiTunesアルバム総合ランキングで1位を獲得。YouTubeに公開されたMVは早くも1100万回再生を突破する勢いだ(3月17日現在)。
宇多田が『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの主題歌を担当するのは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(2007年)、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009年)、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年)に続きこれで4作目となる。
起用のきっかけは『週刊プレイボーイ』(集英社)2006年6月5日号の特集記事『エヴァンゲリオン10年目の真実』。記者のインタビューに対し宇多田が作品のテーマや主人公・碇シンジへの熱い共感を語ったところ、それが庵野秀明監督ら関係者の耳に入り「こんなに分かってくれてるんだ」とオファーにつながったようだ。
『Beautiful World』から『One Last Kiss』まで、14年間を振り返る
楽曲からは制作に対する大きなプレッシャーが感じられる。「君の側で眠らせて」「ただもう一度会いたい」など、歌詞の随所にヱヴァの世界観を反映した跡が見られる1作目『Beautiful World』、それをアコースティックアレンジして趣きを変えた2作目『Beautiful World-PLANiTb Acoustica Mix-』、事前に脚本をもらったもののネタバレが嫌でストーリーを理解しないまま制作し、東日本大震災への想いも込められているという3作目『桜流し』、そして今作『One Last Kiss』。
常に別離の哀しみを秘めた人間関係の脆さと、それゆえの愛着や美しさを描いているという点でいずれもエヴァンゲリオンらしく宇多田ヒカルらしくもあるという絶妙な仕上がりだ。
3月10日に配信版とは別にCD、LP(レコード)としてリリースされたアルバム『One Last Kiss』には、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズに宇多田が提供した楽曲全曲が収録されている。度重なる公開延期を経て14年間にわたったシリーズの歴史を、その歌声を通して振り返りたいものだ。
『One Last Kiss』
【通常盤】CD
http://utadahikaru.lnk.to/dfeKvz
【完全生産限定盤】LP
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