コロナ禍で人々の生活が変わり出してから、すでに1年ほどが経ちました。「ステイホーム」が叫ばれるようになってからは、人々の住環境に関する価値観も一変。テレワーク推進の動きにより、家の中だけでなく、「どこに住みたいか」という考え方にも変化がありました。
リクルート住まいカンパニーが企画・運営する「SUUMO」は3月8日、「SUUMO 住みたい街ランキング2021 関東版」を発表しました。毎年恒例となったランキングですが、コロナ禍はどのように影響したのでしょうか?
1位は「横浜」遊びも食もひととおり揃うのが魅力
2021年の関東版「住みたい街ランキング」の栄えある1位に輝いたのは「横浜」。全ての年代、全てのライフステージの人から1位に選ばれているうえ、都県民ごとの集計では、いずれにおいてもTOP10入りを果たす人気っぷり。広く支持されている様子が伺えます。
横浜駅エリアに限らず、桜木町駅エリアやみなとみらい駅エリアも含めて再開発が進行中の横浜。コロナ禍で遠出が憚られる状況でも、遊びも食も、場合によっては職場までひととおり揃うのが魅力です。今後も開発が進んでいくことへの期待感も込めて、多くの人から選ばれたのかもしれません。
埼玉県が大躍進!「ださいたま」を地元民が見直す流れか
2021年のランキングの大きな特徴は、埼玉県の"大躍進"。2018年以降のランキングで常にTOP10以内を死守してきた「大宮」「浦和」だけでなく、「さいたま新都心」「和光市」「川口」「所沢」も過去最高順位を収めました。
ライフステージ別でみると、「夫婦のみ」ランキングでは「浦和」「大宮」が過去最高得点、「夫婦+子ども」では「さいたま新都心」も過去最高得点をマークしました。この"大躍進"の訳は、どこにあるのでしょうか?
コロナ禍で「住みたい街が変わった」と答えた人は全体の約3割いて、最も多かったのは埼玉県民の4割超でした。「住みたい街が変わった」埼玉県民は、「郊外に住んでいるけれど、希望としては東京に住みたい」と考えていたのが、コロナ禍をきっかけに郊外の良さ・地元埼玉の良さを再評価していることが考えられます。
調査では、「個性的な店がある」「人からうらやましがられそう」など、今まで東京の街に求められていた要素が埼玉でも見直されている様子が伺えました。
「ださいたま」脱却なるか!?
近年は映画『翔んで埼玉』での埼玉ディスりも記憶に新しいように、埼玉を語るとき、「ださいたま」という言葉は欠かせません。1983年に司会者のタモリさんが発言して以来、すっかり定着しているこの言葉は、埼玉県民に自虐性を刷り込んできたとSUUMOは指摘。
そんな自虐性も一つの文化となった埼玉ですが、住む街としての魅力がアップしたのには、3つの理由があったと分析しています。
まず、「県民が自慢できるコト・モノの充実」。交通の便がよくなったことや、遊びや住環境、医療が充実している安心感があるようです。
「駅周辺の再開発」も魅力アップに貢献したと考えられます。去年の19位から順位を上げて15位にランクインした「さいたま新都心」では、駅前のインフラがさらに充実しました。
3つ目の理由には、「埼玉育ちの団塊Jrキーパーソンの活躍」を挙げます。埼玉で育った団塊Jr世代が社会人となり、外で実力をつけて地元・埼玉の魅力を再発見しているのではという見立てです。
「ださいたま」の不名誉な(?)異名を持ちながらも、社会の変化を追い風に魅力を発揮するようになってきた埼玉県。今後に注目ですね!