レジ袋の有料化で急増した“カゴパク”
カゴパクとは、スーパーなどで買った商品をカゴに入れ、そのままカゴを盗んで持ち帰ること。レジ袋の有料化で今年急激に増えたとされ、先ごろ発表された「現代用語の基礎知識」選 2020ユーキャン新語・流行語大賞のノミネート語のひとつにもなりました。そんな困ったお客さんの実態について、某スーパーチェーンの店員に話を聞いてみました。
「うちの店は数年前からレジ袋を有料にしているので、以前からカゴパクはありました。半期に1度カゴを発注するのですが、100カゴくらい注文します。近所の家の裏口で店のカゴを見かけたこともありますね。あまり悪いと思っていないんじゃないでしょうか。なかにはカートごと持っていってしまう人もいます」
地方だと車で買い物に来る人が多く、カートでカゴを車まで運び、車のトランクにひょいと積んでしまえば、カゴパクに気づかれにくいようです。
カゴパク以外にも迷惑行為はいろいろ
「持ち帰りという点では、お弁当用の箸やスプーン、醤油などを必要以上に持ち帰る人はよくいますね。この地域は、家庭ゴミを有料の指定ゴミ袋で出さないといけないので、みんななるべくゴミを減らしたいと思うのですが、店のゴミ箱に家庭の生ゴミを捨てる人もいます。そうかと思えば、店頭のフリーペーパーを大量にとって、古紙回収ボックスに入れてポイント交換している人もいます」
レジのビニールカーテンは接客の強敵
コロナ禍ならではのトラブルやクレームも増えているといいます。
「コロナ当初は品薄の商品の個数制限へのクレームもありましたね。納豆を一家族1つに制限したところ、『うちは5人家族なのにどうやって食べればいいっていうの?』と怒っていた方もいました」
今はそうした制限はありませんが、レジの前に設置してあるビニールカーテンがなかなか厄介なのだとか。
「ビニールカーテンのせいで声が聞こえづらかったり、レジの金額表示が見えづらかったりするんです。お年寄りに何度も『いくら?』と聞かれると、こちらもつい声が大きくなってしまい、なかには怒鳴られたと感じる方もいるようです。聞こえづらいと、お客様がビニールシートをのれんのようにめくって話しかけてきたり、マスクを外して話してきたりすることもありますね。
以前、『ありがとうございました。またお越しくださいませ』と言ったのが聞こえなかったようで、ビニールカーテンをめくって『お前、今なんて言った?』とキレ気味に言われたこともありました」
注意書きはしているものの、お札やポイントカードをなめる人は相変わらず多いそうです。
「マスクをしているのに、マスクの上からなめようとして『アレッ、おかしいな?』という顔をしている人もいます。もう、クセなんでしょうね」
また、手袋はしてもしなくてもクレームの元になりがちなアイテムのようです。
「うちの店では手袋の使用は任意です。お札や金券が数えにくいし、手荒れをする人もいるので。ただ、していないと『なぜ手袋をしないのか』と問われることもありますね。手袋をしていても『客が変わるたびに手袋を変えろ』と言われたこともあります」
なんとなくみんな怒りっぽくなっている!?
「私の気のせいかもしれませんが、コロナ禍でイライラしているお客様が増えたように感じます。カゴをドンッと置く人や威圧的な態度の人、カスハラ(カスタマーハラスメント)をする人などですね。
また、ソーシャルディスタンスの意識の差などから、レジで並ばれているお客様同士が、ケンカまではいかないですが険悪な雰囲気になることが増え、あいだに入って声掛けすることも多くなりました」
もちろん、こうしたお客さんはごく一部で、基本的には気持ちよく働けているとのこと。コロナ禍で心配やストレスが多い時期だからこそ、日々使うスーパーはみんなが気持ちよくなれるよう利用していきたいですね。