37歳、同僚の恋人を好きになってしまった……
友だちの彼を好きになってしまった。そんなとき、どういう態度に出ればいいのだろう。自分の恋心をどうしても抑えきれなかったら?
好きになったらどうしようもなかった
友だちから恋人を略奪したユキさん(37歳)は言う。
「結婚しているわけじゃないのに、どうしていけないのかわからない。だって彼の選択でしょ。彼が私と一緒にいることを望んで私を選んだ。なぜ私が非難されるんでしょう」
ユキさんが、前の職場の同僚であるマナさん(32歳)に彼・ダイスケさん(37歳)を紹介されたのは昨年の秋だった。
「年が5つ違うので、姉と妹みたいな関係。彼女はしっかりしているところもあって、一緒に旅行するほど仲良しでした。マナと彼は当時、つきあって半年くらい。彼女は結婚したいと騒いでいたけど、実際に会ってみるとダイスケはまだ結婚を視野に入れていないように見えました」
マナさんが席を外したとき、ユキさんはそれとなく彼に「すぐにでも結婚するの?」と探りを入れていた。
「マナに彼が結婚についてどう思っているか、真意を確認してほしいと言われていたけど、つきあって半年、まだ結婚を決意はできませんよね。それでマナがいない間、私と彼は趣味の話に。同い年だということもあって、好きな音楽や映画の話で盛り上がりました。気がついたら、彼と握手を交わしていたりして」
彼に、これまでの恋愛相手とは違うシンパシーを感じたとユキさんは言う。そのとき、どうしても彼に聴かせたい曲があるのにタイトルを思い出せなかったユキさんは、他意なく彼に連絡先を尋ねた。彼もすぐに教えてくれた。
翌日から彼とのメッセージのやりとりが始まった。
「彼と私の会社が近いこともあって、その後、ときどきランチをするようになって。映画『ボヘミアン・ラプソディ』も一緒に観に行きました。マナは観たくないって言ってたんですって。その映画を観終わった帰り、ふたりでしゃべり続けて、気づいたら電車がなくなっていたんです」
決して計算したわけではなかった。話が盛り上がりすぎたのだ。
「ただ、そのとき私は気づいたんです。ダイスケのことが好きだ、と」
気持ちを抑えられなかった。彼も同じだったようだ。そのままふたりはホテルへ行った。
友だちをたくさん失ったけれど
ダイスケさんはすぐにマナさんに別れを告げた。彼から別れを告げられたと、マナさんは泣きながらユキさんに相談をもちかけてきた。
「私はなにも言えませんでした。マナを泣かせてしまったのは申し訳ないと思ったけれど、彼がマナより気の合う私を選んだのはしかたがないことだと思っていた」
しかたがないけれど、人道的にはどうなのだろう。ただ、人道的には問題があっても、お互いに好きな相手とつきあいたい気持ちはどうしようもない。ダイスケさんもユキさんも葛藤はあった。
「結局、私とダイスケがつきあうようになったことがマナとの共通の友人たちにもバレ、たくさんの友だちを失いました。それでも私はダイスケと一緒にいたかった。もちろん、『しかたないよね』と言ってくれた友人も少数だけどいます。あれから10カ月近くたって、ダイスケとは先日、婚約しました」
お互いに選び取った相手、決してマナさんを傷つけたかったわけではないとユキさんは力説する。確かに恋愛は自由だ。いつか非難されても愛を貫いたふたり、と言われるようになるのかもしれない。
「好きという気持ちは、自分が思っているよりずっと強いものだったんです。非難されてもしかたがないのかもしれないけど、無責任に非難してくる人をどうなんだろうと思うこともある」
恋は思案の外、という諺もある。恋をしたら理性は効かないものなのかもしれない。