2年前はJ3リーグでプレーしていた
シーズン開幕前はノーマークだったストライカーが、令和の時代のJ1リーグを盛り上げている。
大分トリニータの藤本憲明だ。11節を終えて7得点は、得点ランキングの1位タイである。3月の国際試合で日本代表に初めて選ばれた鈴木武蔵(札幌)、日本代表経験のある興梠慎三(浦和)や小林悠(川崎F)らを抑え、ここまで日本人トップのゴール数を記録している。
2年前はJ3でプレーしていた。在籍2年目の鹿児島ユナイテッドFC(現在はJ2)で2年連続のJ3得点王に輝くと、翌2018年は当時J2の大分トリニータへ移籍する。ここでも得点源としてチーム最多タイのゴールを記録し、大分が13年以来6シーズンぶりにJ1へ復帰する原動力となった。
サクセスストーリーとしては、ここまででもなかなかのものである。しかし、藤本は自身初挑戦のJ1でもその名を轟かす。J1リーグの盟主・鹿島アントラーズとの開幕戦で2ゴールを叩き出したのだ。彼が得点した5試合はここまで全勝と、チームの成績に直結する働きを見せている。J1残留が現実的な目標と予想されていた大分は、11節終了時で7勝2分2敗の3位に食い込んでいる。
各チームが11試合を終えた段階で、大分は最下位のサガン鳥栖に次いでリーグで2番目に総シュート数が少ない。そのなかで、ランキング首位タイの得点をあげているのだ。就任4年目の片野坂知宏監督のもとでチームが成熟度を高めているとはいえ、藤本のパフォーマンスは評価されていいはずである。
藤本が決勝点をあげた5月12日の湘南対大分戦には、日本代表の森保一監督の姿があった。29歳にして初の日本代表入りか、と周囲は騒がしくなっている。
6月にも初の日本代表入りか?
日本代表は6月に国内でテストマッチを2試合消化し、その直後に南米各国の代表チームが大陸王者を決めるコパ・アメリカに招待参加する。コパ・アメリカには現在22歳以下の東京五輪世代に日本代表を加えたチーム編成での出場が予想され、攻撃の柱となる大迫勇也(ブレーメン/ドイツ)は休養を優先して招集されない見込みだ。
一方、大黒柱の大迫を追うFW陣には、前述の鈴木や、鈴木と同じく3月に初招集された鎌田大地(シントトロイデン/ベルギー)らがいる。所属クラブでのアピールではライバルに見劣りしない藤本だが、これまで一度も代表でプレーしたことがないため、周囲とのコンビネーションを構築していく必要がある。強豪国と対戦するコパ・アメリカで起用することに、森保監督が慎重になってもおかしくない。
いずれにせよ、藤本が初の日本代表入りを射程圏内にとらえているのは間違いない。このまま結果を残していけば、国際舞台のピッチに立つ日はやがて訪れるはずだ。