コンビニコーヒー導入から5年。各社の次なる一手は?
2012年頃から、コンビニが相次いでレジ横にコーヒーマシンを導入し、「コンビニコーヒー戦争」とも呼ばれる時代に突入。100円で買えるコーヒーは、我々のライフスタイルに着実に浸透してきた。
それから5年あまり経った現在、コンビニ業界では、次世代のマシンに切り替えたり、コーヒーの味をリニューアルしたりと、「第二次コーヒー戦争」ともいえる熱いバトルが繰り広げられているようだ。
独自路線のローソン。抽出時間の短縮で、業界に激震
大手コンビニのなかでは、唯一、セルフサービスではなく店員が手渡しするスタイルをとっているローソン。第二次コーヒー戦争の幕開けは、2018年2月にローソンが導入した新型マシン「メリタ カフィーナXT6」によるものかもしれない。
従来から、エスプレッソ式マシンを使用してきたローソンの新型マシンは、抽出時間が大幅に短縮。ホットコーヒー(S)の抽出時間を約40秒から約25秒に、カフェラテ(M)の抽出時間を約29秒から約20秒に短縮し、これまで課題と言われていた、お客の待ち時間の軽減につながっている。
コーヒーの知識が少しある人ならおわかりであろうが、コーヒーの抽出には「蒸らし」の工程が不可欠であり、ここを短縮してしまうと、味の薄いコーヒーになってしまう。その点を踏まえて提供時間の短縮を短縮しつつ味わいも追及しており、大きな注目を集めている。
さらにこの11月には、豆の比率をリニューアル。ローソンでは2015年より、産地・農園指定の豆を100%使用している。今回はブラジル・イパネマ農園の熟成豆など産地の異なる5品種をアフターミックスと呼ばれる手法でブレンドし、より深い味わいを実現。
また、ローソンはコーヒー以外のメニューにも注力している。カフェインレスコーヒーのホット・アイス・ラテのバリエーションを常備するだけでなく、紅茶、抹茶やほうじ茶のラテ、フルーツティーなど、季節ごとに様々なドリンクを用意。女性ファンが多いというのも納得だ。
セブン‐イレブンは、従来のドリップ式マシンを進化!
コンビニ最大手のセブン‐イレブン。コーヒーマシンの導入においては後発と言われながら、2013年9月に全店導入を完了すると、その勢いは増すばかりだ。
コンビニのコーヒーマシンには、ドリップ式とエスプレッソ式の2つが主流となっているが、セブン‐イレブンでは、当初より「日本人好みの美味しいコーヒー」の提供に重点を置き、ドリップ式を採用してきた。
エスプレッソ式に比べると、メニューバリエーションが限られることが弱点とされるドリップ式。ホットのカフェラテがセブン‐イレブンで飲めるようになったのは2017年2月と比較的最近のことだが、そこから怒涛の快進撃を見せる。
2018年3月には、看板商品であるドリップコーヒーの味を大幅刷新し、現代のお客に好まれるより深い味わいに一新。そして11月には、早くも「カフェラテ(ホット・アイス)」もリニューアルした。ミルクにこだわり原料や抽出を見直し、きめ細かい泡立ちのカフェラテに仕上がっている。
その上、マシンについても、3代目となる新型マシンの導入を予定。これによりお客の操作ミスをなくしたり、抽出時間の軽減も可能になるという。
ファミリーマートは、エスプレッソ式からドリップ式に大幅転換!
ファミリーマートでは、2018年10月より、新型マシンを導入。これまでローソンと同じエスプレッソ式を採用していたが、今回のリニューアルでドリップ式に変換している点が注目だ。
ファミリーマートの新型マシンの売りは、大きく3つある。1つ目は、ドリップ式により、すっきりとした後味のコーヒーを提供できること。より昨今の消費者の嗜好に合うようになった。
2つ目は、従来のマシンよりもきめの細かいフォームドミルクを作れるようになったこと。女性に人気のカフェラテがよりふわふわとした口あたりになった。
そして三つ目は、同じ価格で「濃いめ」が選べたり、人気の「スペシャルティコーヒー」も低価格で買えるなど、メニューバリエーションがさらに増えたことだ。
また、今回のリニューアルで、コーヒーカップのデザインも刷新。西海岸を思わせる、おしゃれなカップになった。ちなみに、スペシャルティコーヒーの紙カップだけ、ちょっと高価なカップを使っている。確かに手触りが違うので、気になる方は試してみてもらいたい。
これからどんどん進化するコンビニコーヒー
100円なら気軽に買える、という魅力もあいまって、ますます我々の日常に浸透してきたコンビニコーヒー。単に安いから、というだけでなく、味の部分でも満足して購入する人も増えているのではないだろうか。
新たなライフスタイルを生み出すほど、我々の生活に影響力を持っているという面でも、コンビニコーヒーの進化はまだまだ続きそうだ。