既婚女性にとって必要な「異性」は?
人は「自分を好きでいてくれる人を必要とするのよ」と言った女性がいる。それは承認欲求へとつながるのかもしれない。
既婚女性は孤独なの?
「結婚して15年、子どもたちも成長して生意気盛り。とはいってもまだ大人同士の会話にはならない。夫とは仲が悪いわけではないけど、夫は仕事が忙しくてあまり会話もない。当たらず触らずの距離感で平和を保っている感じ。なんだか寂しいんですよね」
そう言うのは、レイコさん(47歳)だ。中学2年生の息子は部活に夢中、年子で中学1年生の娘は何かと言うと、「ママにはわからない」と反抗する。
「子どもがいると、自分の老いがよくわかります。娘の言うとおり、私はもう新しい情報についていけないもの」
パート仲間の同世代女性たちとも、そんな話をよくするのだという。
「その中のひとりが言ったんですよ。『私たちには、友だち以上恋人未満の男が必要なのよ。しかもあちらが私を好きでいてくれることが絶対条件でね』って。なるほどねとみんなで納得しました。その彼女、そういう男性がいるんですって。元カレだけど、『不倫じゃないわよ、肉体関係はないから』と言ってました。ちょっと羨ましかった」
自分を好きでいてくれる異性がいることで、その彼女は女としての自信を取り戻したそうだ。
“信者”がいる幸せ
実際、友だち以上恋人未満の異性がいるというのは、ケイコさん(45歳)。ふたりの小学生の子がいるが、仕事で知り合った同世代の男性とはときどきふたりで飲みに行く仲だ。
「彼は冗談のように、『お互いに結婚していなければよかったのにね』とか、『ケイコさんは理想の女性』とか言うんですよ。私は笑って躱すけど、内心、悪い気分ではない。こういう言い方は彼に失礼だけど、女にとって、自分の信者がいるのは大事なことだと思うんです。私にとっては、それが機嫌よく過ごせる最低条件というか」
ケイコさんは、目鼻立ちのくっきりした美人である。若いころから“信者”が多かったはず。だからそう言うのかと思っていたが……。
「私、本当にモテなかったんですよ。冷たい人間だと思われがちで。小さいときからいじめにあっていたから、性格も引っ込み思案になってしまった。夫だけですもん、プロポーズしてくれたのは」
今は年齢を重ねた分、冷たくは見られなくなった。性格も本来の明るさを取り戻したから、今のほうが友だちが多いのだという。
「平和な家庭を乱すつもりはないんです。でも恋愛すれすれのところで楽しむ関係は必要ですね、私は。家族以外で私を好きだと思ってくれている異性がいることが、本当に幸せ。彼がいなかったら、人生はもっと味気ないものになっているかもしれません」
異性だからこそ味わえる、ちょっとしたときめき。それがあることで日常に彩りと潤いが出てくる。それは誰にとっても同じかもしれない。