今も、夫を「愛してる」と言えますか?
好きな人と結婚したのだから、新婚時代は当然楽しかった。あれから約15年、女性たちは今もあのときの気持ちを持ち続けているのだろうか。
夫に期待しなくなった
「あの頃と今、何がいちばん変わった?」と聞いてみると、いちばん多かったのが「夫に何も期待しなくなった」という答え。
「子どもがふたりになった時点で、この人と完全に協力しあうのは無理だと思いました。ゴミ出しと週末の風呂掃除くらいして『家事をやっている』と思い込んでいる。自分の気が乗ったときだけ子どもと遊んで、気が乗らないときは知らん顔。ゲームに夢中になっている夫を見るとため息が出ますね」
アキコさん(43歳)はそう話す。結婚してちょうど15年。14歳と13歳、年子のふたりを育てながら彼女が仕事を辞めずにすんだのは、実家が近かったから。子どもたちは今でも自分たち両親より祖父母に愛情を感じているように見えるという。
「夫がもっと積極的に家庭に関わる……というか、ここは自分たち夫婦の家庭なんだという気持ちを強くもってくれれば、親に頼る部分も少なくてすんだと思う。何度も働きかけたし、いろいろ提案もしたけど、夫はいつも最後は『任せるよ』と逃げていく。表面上は穏やかな関係になっていますが、それは私が夫をあきらめたから」
夫をあきらめる、というのは強い言葉だ。だがあきらめられた夫のほうは、案外気楽そうに見えるというから、「結婚」って何だろうと思わされる。
この先何があるかわからない
「一応、墓場まで一緒にと思って結婚したけど、今はこの先、何があるかわからないなと思い始めています」
ミキさん(40歳)は結婚13年。10歳のひとり娘がひとりいる。子どもが病弱だったため、一時期は専業主婦だった。その後、再就職を果たしたが、夫は彼女がいまだに専業主婦であるかのように振る舞うという。
「家事も子どものことも完全にワンオペ状態です。それどころか夫は自分のことさえしなくなってる。結婚当初はクリーニング屋さんにも自分で行っていたし、靴だって自分で磨いていたのに。専業主婦時代に私がやってしまったのがいけないんですが、状況が変わったのだから自分でやってほしいと言ってもやらない。日頃のストレスが積もって、あるとき、『私はあなたの母親じゃない!』とキレちゃったんですよね。そこから夫が私に対してやたらとビビるようになって……。ちゃんと話し合おうと言っているんですが、夫は仕事が忙しいと逃げてばかり」
最近、ミキさんの頭の中には「離婚」の二文字が浮かぶようになっている。離婚しても経済的にやっていけるかどうかをシミュレーションすることもあるという。
「実際に離婚となると、いろいろ煩雑なことがあるから踏み切れませんが、子どもが大学生にでもなれば別れてもいいかもなあと考えています」
結婚生活も長くなれば、いろいろなことが起こる。じわじわとワインの澱のようにストレスがたまってもいく。どこかでリセットと考えたくもなるのかもしれない。生涯仲良く連れ添っていくと言葉で言うのは簡単だが、実践するのはむずかしい。