バラエティに富む2018年の冬ドラマ。今回ご紹介するのは、視聴者の「観たい」を刺激する手腕が光るガイド注目の3作です。
『アンナチュラル』:ビター&スウィートと極上のみずみずしさ
日本に新設された死因究明の不自然死究明研究所(UDIラボ)が舞台の『アンナチュラル』は、重たいテーマが重くなりすぎないように、伝えるべきことはきちんと伝える、制作サイドのていねいな想いが伝わります。
脚本は『逃げるは恥だが役に立つ』『重版出来!』の野木亜紀子、新しい時代を生きる女性をみずみずしく描くエキスパートです。我慢しちゃいけないこと、食らいつくべきこと、それを決めるのは今を懸命に生きる女性たち自身。力技ではない異論の唱え方に胸が熱くなります。
本作も、週末の夜にやさしい“言葉のはこび”で視聴者を魅了。音楽、コインロッカーの文字、サブタイトル(第1回は「名前のない毒」)など、細部にわたる洗練も今期一番。特殊な職業をテーマにするドラマだと、
また、
◇『アンナチュラル』TBS系/金曜夜10時
『BG~身辺警護人~』:注目したい豪華キャストならではのジリジリ感
武器を持たずに警護にあたる民間のボディーガードを木村拓哉が演じる『BG~身辺警護人~』。贅沢なキャストでも話題です。新設部署ならではの摩擦、緊張感がみどころのひとつ。
主人公の島崎章vs警視庁のSP落合義明(江口洋介)、島崎vs同僚の高梨雅也(斎藤工)、落合vs警視庁の氷川修(宇梶剛士)など、駆け引きを含んだ静かな探り合いは脚本と本格派俳優のなせる業。石田ゆり子演じる厚生労働大臣・立原愛子の曲者ぶりや、でんでん演じる警備員にも注目。警護課のリーダー村田五郎を演じる上川達也のコントロールの利いた演技も絶品です。能ある鷹たちが、爪を隠し持っているのか、その爪を磨き切れていないのか、BGたちの今後はシンプルに楽しみ。若いBG沢口正太郎(間宮祥太朗)と菅沼まゆ(菜々緒)の伸びやかな演技も好感が持てます。
◇『BG~身辺警護人~』テレビ朝日系/木曜夜9時
『オー・マイ・ジャンプ!〜少年ジャンプが地球を救う~』:ヒーローになりきる!熱い想いで没頭したい
創刊50周年を迎える『週刊少年ジャンプ』全面協力のテレビ東京ドラマ24第50弾特別企画としてスタートした『オー・マイ・ジャンプ!』。こだわりのコスプレはもちろん、
週刊少年ジャンプファンが集う秘密クラブ「オー・マイ・ジャンプ!」を中心に繰り広げられる物語は、ジャンプのうんちく話あり、伊藤淳史演じる主人公の営業マン月山浩史が寸劇で見せるジャンプのエピソードあり、ヒーロー魂爆発あり、全方位からジャンプ愛を開花させます。
壮大なコーラス、CM前の「オー・マイ・ジャンプ」のささやき、切ないシーンのピアノのメロディ、シーンに合わせた音の演出はサラリと巧妙。神谷明のナレーションに歓喜するファンも。月山のライバルを演じる馬場徹と、月山の上司・大嵐寿三郎役のケンドーコバヤシは、ともに過剰な熱さで力演。聖闘士星矢のコスチュームで挑む寺脇康文、初回にアラレちゃんを披露した女医役の佐藤仁美、NARUTO女子の生駒里奈も期待以上です!
◇『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが世界を救う~』テレビ東京系/金曜深夜0時12分
そのほかの個性派ドラマにも注目!
幕末の青春を生き生きと描いた『西郷どん』(NHK/日曜夜8時)のキャストも豪華、学びへの渇望や時代の空気に心が洗われます。事件へのアプローチをコミカルかつ鋭く描く法的ドラマ『99.9-刑事専門弁護士-』(TBS系/日曜夜9時)は2シーズン目、愉快痛快奇々怪々のスタイルは健在です。藤木直人の怪演から目が離せない亀梨和也主演の復讐劇『FINAL CUT』(関西テレビ/火曜夜9時)、ホストの華やかな世界を舞台に若い世代が繰り広げる謎あり笑いありの不思議な世界観『トドメの接吻』(日本テレビ系/日曜夜10時30分)、脱力感、わちゃわちゃ感そのままでプライムタイムに再集結する『バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜』(テレビ東京系/水曜夜9時54分)は2月7日スタート、2018年も見応えあるドラマが続きそうです。