ついに見えてきたトヨタとマツダのEV開発
豊田章男社長が「婚約から結婚」と喩えたトヨタとマツダの提携拡大は、「EV(電気自動車)も見据えた」ものであり、「EVありき」という報道がされたのは一部報道によるミスリードもあったという指摘がある。
しかし、両社の提携は、EVはもちろん、自動運転技術などこれから求められる幅広い分野においてできるだけ多くの英知を結集させることが不可欠だろう。
トヨタとマツダ、デンソーが共同技術開発へ
そんな中、9月29日、トヨタとマツダ、そしてデンソーによる「電気自動車の基本構想に関する共同技術開発に向けた契約を締結」、そして共同技術開発を効率的に進めるために新会社を設立すると発表された。
じつはトヨタは、デンソーを筆頭にしたサプライヤーと呼ばれる同グループ系を結集させて、すでにEV開発をスタートさせている。そこにマツダが加わり、上記3社を中心にEV開発を加速させるのが狙いだ。
実際に3社は、「EVの販売台数はまだ多いとはいえないが、求められるクルマは地域やニーズにより多種多様であり、各社が単独ですべての市場やセグメントをカバーするには膨大な工数、費用、時間が必要になるという課題がある」と今回の共同技術開発についてコメントしている。
どんなEVが開発されるのか?
では、どんなEVが開発されるのだろうか。3社は幅広いセグメント、そして車種をカバーできるEVの基本構想に関する技術を共同で開発することに合意している。
つまり、軽自動車から乗用車、SUV、小型トラックまでの幅広い車種群をカバーし、トヨタの「TNGA」、マツダが得意とする「一括企画」や「モデルベース開発」、デンソーの「エレクトロニクス技術」などの各社の強みを活かすそうだ。
他のメーカーなども参画可能なオープンな体制を目指す理由
今回の3社の共同技術開発(新会社設立)で注目なのが、今後は他の自動車メーカーやサプライヤーも参画可能なオープンな体制を目指すとしている点。
とくにトヨタは、エコカーでいえば、ハイブリッドで世界をリードしてきたが、技術を囲い込みすぎて、世界中の自動車市場全体でハイブリッドが主役にはなれなかった。
さらに、FCV(燃料電池車)では一部技術を公開するとしているが、FCVは水素ステーションの整備が目標どおりには進まず車両価格も高額のまま。トヨタを中心に、走りが得意なマツダ、エレクトロニクス技術に秀でるデンソーのほか、他メーカーとタッグを組んでどこまで開発を進められるか。仲間作りの行方も含めて注目が集まりそうだ。