定期便は1日2往復のみ、合間にスカイダイビングも
兵庫県北部の豊岡市にある「コウノトリ但馬空港」。定期便が1日2往復あるのみの空港だが、全国の地方空港では珍しい試みを次々と打ち出して話題になるなど、近ごろ注目を集めている。
但馬空港には、JALグループの日本エアコミューター(JAC)が大阪(伊丹)空港から1日2往復を小型プロペラ機「サーブ」で運航する。1994年5月に開港して今年で23年目。空港の愛称は、国の特別天然記念物「コウノトリ」最後の生息地であり、空港がある豊岡市にある県立コウノトリの郷公園でコウノトリの保護増殖や野生復帰に努めていることなどから名付けられた。
定期便の離着陸がない時間帯には、滑走路上でのスカイダイビングが人気だ。スカイダイビングができる場所としては西日本で唯一で、初心者から気軽に体験できるとあって遠方からわざわざ訪れる人も多く、関西圏では“スカイダイビングの聖地”としても知られてきた。
滑走路の見学ツアーが予約分完売の大人気ぶり
その但馬空港では今、空港の知名度アップや利用者増につなげようと、これまで以上にさまざまな取り組みが行われている。
昨秋から実施する「1日1組限定! 但馬空港まるごと見せちゃいます企画」は現在、受付分の9月30日まで完売するほどの人気ぶりだ。空港のパトロールカーに乗って伊丹へ出発する便を滑走路の近くから見たり、滑走路に立って記念撮影をしたり、管制塔や空港の特殊車両を見学するなど、空港に詳しいスタッフがガイドしてくれる。航空ファンの間で広がりつつある中、今年8月にインターネットのニュースで掲載され、一気に知名度が上がった。
筆者も昨年11月に参加した。定期便がある空港で滑走路に立てる機会は全国でめったになく、ガイドに空港や飛行機について疑問に思ったことを質問すると丁寧に答えてくれるなど、非常に満足度の高い企画だと感じた。滑走路そばから見る離陸は小型機とは非常に迫力があり、写真も撮影できて楽しかった。
9月30日までの分はすでに完売で、それ以降については10月に公開予定。ツアー代は平日5,000円、休日7,000円(小学生は半額、伊丹便利用者の割引あり)。団体向けツアーはまだ空きがあって予約を受け付けている。
滑走路を使った早朝マラソン大会、ランウェイタオルも新登場
ほかにも、他の空港では珍しいイベントなどが続々と企画されている。
但馬空港として初めてのマラソン大会が、9月23日に行われる。1,200メートルの滑走路を早朝に走って往復するジョギングで、マラソン後にはとっておきの楽しみも用意されているという。参加費は大人・子供とも1名300円で100名限定。9月12日必着で、空港担当者によると参加者は順調に集まっているとのことだ。
また、全国の主な空港で発売されている滑走路をデザインしたランウェイタオルに、但馬空港バージョンが新登場。生地は今治タオルで、税別1,500円。空港内売店のほか、インターネットや電話などでの購入もできる。
さらに、定期便で現在運航中のサーブがもうすぐ退役になり、新たに「ATR」が2018年度に就航する。これに合わせ、「ありがとうサーブ、こんにちはATRイベント」を、12月23日に実施。サーブ機の写真展示やATRの動画放映、JAC就航地の物産展などが予定され、詳しくは10月に発表となる。地元の人々をはじめ、航空ファンの間でも「今のうちにサーブに乗っておきたい」、そして「新しいATRに乗りたい」のと、しばらく空路のほうも人気を集めそうだ。
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