飛行機に乗らずとも各地のラーメンが味わえる「ラー博」の新店とは
新横浜ラーメン博物館(横浜市港北区新横浜、以下ラー博)では、3月に新店が2軒オープン。1軒は北海道・利尻島「利尻らーめん味楽(みらく)」、もう1軒はアメリカのニューヨーク・ブルックリン「YUJI RAMEN(ゆうじらーめん)」。現地で支持されているラーメンが新横浜で味わえる。イタリア・ミラノ「カーザルカ」(2017年1月退店)、福岡・博多「元祖 名島亭」(2017年2月退店)の後にそれぞれ出店する。
日本一(?)食べに行くことが困難とされる「島ラーメン」
「利尻らーめん味楽」のオープンは3月1日(水)。本店は北海道の離島のひとつである利尻島にあり、飛行機とフェリーを乗り継いで8時間、かつ営業時間が2時間半と短いため、日本一(?)食べに行くことが困難とされる。
高価な利尻昆布をふんだんに使った絶品ラーメン
ラーメンメニューは、日本三大昆布といわれる利尻昆布をふんだんに使った「焼き醤油ラーメン(900円)」。利尻昆布には、利尻産以外に礼文産、稚内産などがあるが、利尻産のものは特に粘りととろみが強いことから高値で取り引きされており、京都の料亭や関西の昆布問屋がまとめて買い付けるため、市場にはほとんど出回っていない。
店主・江刺家(えさしか)さんの親戚が昆布漁をしており、通常価格よりかなり安価で仕入れることができるため、この価格でラーメンが提供できるとのこと。本店は「ミシュランガイド北海道 2012 特別版 ビブグルマン(=コストパフォーマンスに優れているレストラン)に選ばれている。
スープは昆布の旨みが凝縮したスープと、豚骨、鶏ガラ、野菜を煮込んだスープをブレンドしたもの。そして、注文ごとに中華鍋で醤油ダレを焼く「焦がし醤油」を合わせる。スープの味は濃い目だが、塩辛くはない。麺はスープによくからむ、中太の熟成ちぢれ麺。具材は、チャーシュー、もやし、メンマ、ネギ、味付けした利尻昆布。
ニューヨーク・ブルックリンで支持されている「逆輸入ラーメン」
もうひとつの「YUJI RAMEN」は、3月16日(木)オープン。海外で独自に誕生し、地元で支持を得ているラーメン店を紹介する「逆輸入ラーメン」だ。今、ニューヨークはラーメンの激戦区といわれており、100軒以上のラーメン店があるとされる。その激戦区でニューヨーカーの絶大な支持を得ている。店主の原口雄次さんは、長年、アメリカで魚の卸に携わっていた魚のプロフェッショナルで、看板メニューは、「ツナコツ(鮪骨)ラーメン」(価格は近日発表)。
スープは水の代わりに昆布だしを使い、オーブンでローストしたマグロのあらを入れて強火で炊き上げ白濁させたもの。ゼラチン質をたっぷり含む、力強いスープに仕上がっている。アクセントとして「柚子胡椒」が使われる。
麺はとんこつラーメンのような「極細ストレート麺」。具材は、大トロの一部で希少部位の「マグロのハラモ」を使ったチャーシュー、きざみ海苔、白髪ネギ、ゴマ。
「本当の意味での魚料理の魅力をアメリカに広めたい」
原口さんは「アメリカへは“寿司を食べる”というスタイルだけが上陸し、本当の意味での魚料理の魅力は伝わっていない。日本の食文化としての魚料理の魅力を、寿司に限ることなく広めたい」という志を持って、2012年、ブルックリンに「YUJI RAMEN」をオープンした。
現在は、朝と昼は「OKONOMI」という店舗名でニューヨーク近海でとれた魚を使った一汁三菜の和定食を提供し、夜は「YUJI RAMEN」と名を変えて、昼に残った魚のあらを使いラーメンを提供している。2016年には別店舗で刺身用の魚を購入でき、魚の下ろし方や料理方法が学べる料理教室を兼ね備えた「OSAKANA」を開業し、アメリカに魚に対する価値観や知識、料理方法を浸透させたいと奮闘している。
いずれも、現地で支持されている、絶品ラーメン。「全国各地のラーメンを、飛行機の乗らずに食べに行ける」をコンセプトとするラー博で味わってみては。
URL:新横浜ラーメン博物館 http://www.raumen.co.jp/
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