サムスン電子が調査結果を発表
韓国のサムスン電子は23日、記者会見を開き、2016年に発売したスマートフォン「Galaxy Note7」の発火問題について、バッテリーの欠陥が原因だったと結論付ける調査結果を発表した。発表によるとNote7には2種類のバッテリーが搭載されたが、それぞれ別の欠陥が確認されたとしている。
Galaxy Note7は2016年8月に米国や韓国などで発売されたが、発売直後から、バッテリーが異常に発熱したり、発火してしまったりする事故が多発。10月には生産・販売を中止することとなっていた。
Galaxy Note7ほど大規模な事故ではないが、携帯電話やスマートフォンのバッテリーが発火する事故は世界各地で発生している。これに関して携帯電話・モバイル専門のライターの佐野正弘氏がAll Aboutの『Galaxy Note7の事故で注目、スマホが発火する理由とは』で解説をしている。
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スマホのバッテリーは燃えやすい素材でできている?
スマートフォンのバッテリーが発火してしまう理由に、現在スマートフォンのバッテリーで採用されている素材が関係しているという。
スマートフォンのバッテリーには、充電して再利用できる二次電池が使われている。よく知られている二次電池には、充電可能な乾電池に用いられている「ニッケルカドミウム電池」や「ニッケル水素電池」、そして、現在主流の「リチウムイオン電池」がある。リチウムイオン電池はスマートフォンだけでなく、パソコンやデジタルカメラなど非常に多くの家電・IT関連機器に用いられている。
「リチウムイオン電池が用いられる最大の理由は、エネルギー容量が大きく、小型で大容量のバッテリーを実現できることが挙げられます」
一方で課題もある。
「リチウムイオン電池に用いられる“リチウム”は燃えやすい素材であり、また充電した状態のリチウムイオン電池には、エネルギー容量が大きい分、非常に大きなエネルギーが貯め込まれています。それゆえリチウムイオン電池は、実は非常に燃えやすいものだともいえます」
佐野氏は、我々が利用しているリチウム電池は発火事故が起きないため、バッテリーを保護するための仕組みが何重にも備わっているので、普段通りに利用している分には、発火する心配はないとしている。
バッテリーが発火する原因とは?
それでも、発火してしまう場合があるのはどうしてなのか。佐野氏は以下のようなケースがあるとしている。
- 製造段階での不良
バッテリーの内部に金属片などが入り込んだことで内部的にショートするなどして、発火事故が起きるという事例はこれまでにも何度か起きているという。
- バッテリーの制御不良
リチウムイオン電池には発火を防ぐためのさまざまな仕組みが用意されているが、それが壊れたり、うまく機能していなかったりすると、充電や放電の制御ができなくなり発火してしまうことがある。
- 衝撃を受けることによる発火
外部から衝撃を受けることで変形し、内部的にショートが起きるなどして発火してしまうケース。最近のスマートフォンには、さまざまな形状に対応するため柔らかい素材を用いた「リチウムポリマー電池」が用いられることが多いが、素材が柔らかいだけに本体が強い衝撃を受けたり、重いものが載ることで曲がったりしてしまうと、その拍子に変形して発火につながるケースがあるという。
発火を防止するためにユーザーができることは?
ユーザーの使い方によって発火するケースもあることから、発火を防ぐには普段のスマートフォンの使い方にも注意する必要があると佐野氏は指摘する。
ユーザー側の使い方の問題で発火が起きる大きな要因としては、以下のケースがあるという。
- 本体に強い衝撃を与えてしまうケース
- 正規以外の充電器を使用し、過充電、つまり充電のし過ぎが起きることでバッテリーに大きな負荷をかけ、発火させるケース
- バッテリーとは直接関係ないが、充電時にケーブルを挿入する挿入するコネクタが折れたり曲がったりすることで、ショートが起き発火するケース
バッテリーに異常があることを見極めるサインがあると佐野氏は説明する。
「スマートフォン使用時や充電時に従来よりも熱くなりやすくなる、バッテリーが膨らんでくるなどの症状が挙げられます。そうしたサインを見逃さず、素早くバッテリーの交換を依頼するなどの対応を取ることも、バッテリーの発火を防ぐことにつながるので覚えておきましょう」
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