ラグビー日本代表の山田章仁選手の妻で、モデルの山田ローラさんが15日、自身のブログを更新した。ローラさんは双子を妊娠中で現在妊娠33週目。ブログでは、20週目に入った頃、「ベル麻痺(まひ)」という顔の半分が動かなくなる原因不明の病気になっていたことを明かし、現在は笑えるまで回復したという。
ローラさんが発症した「ベル麻痺」とはどのような病気なのだろうか。脳神経外科医の菅原道仁氏が、All Aboutで以下のように解説している。
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ベル麻痺とは・発症頻度
菅原氏によると、顔面神経麻痺とは、顔の筋肉を動かす神経である顔面神経が急に機能しなくなり、まぶたが閉じられなくなったり、口元が垂れ下がったりして、あたかも顔が曲がってしまったかのように見える病気という。そのなかでも、原因不明なものを特別に「ベル麻痺」と呼ぶと菅原氏は説明する。
ベル麻痺は、1年で人口10万人あたり、約20人が発症するので、決して珍しい病気ではないという。
ベル麻痺の症状
急に顔の動きが悪くなり、鏡で顔を見ると顔が歪んでいるように見えることで、顔面神経麻痺やベル麻痺に気づくという。
症状として通常は、
- 顔面の片側のみが動かしにくくなる
- 額のしわ寄せができなくなる
- 瞬きができなくなる
- 口角が下がり、口元から水が漏れ出る
といったものが現れるという。また、ときには、味覚が変化することもあるという。
特に注意が必要な症状は、瞬きができなくなることで、目が乾いて角膜が傷つきやすくなるという。そのときは、目薬や眼帯などで目の保護することが有効という。
麻痺している側の耳の後ろに水泡ができることがあり、この場合は帯状疱疹による顔面神経麻痺の可能性が高くなるので早急に耳鼻科や神経内科、脳神経外科などの受診が必要という。
ベル麻痺の検査、原因は
顔面神経麻痺を引き起こす病気の中でも、脳梗塞や脳腫瘍といった脳の病気ではないことを確認することが重要。そのため、多くの場合、MRIやCT検査を行い、脳のチェックを行うと菅原氏は説明する。また、サルコイド、ライム病などのややめずらしい病気でも起こることがあるといい、それらが疑われる場合には、血液検査などほかの検査が必要になるという。あらゆる検査をしても原因が不明な場合、ベル麻痺と呼ぶと菅原氏は述べる。
ベル麻痺の回復・治療・ステロイドの内服
多くの患者さんは2~3週間の経過で改善し始め、概ね8割以上の人が2~3ヶ月で完治するという。自然に治癒する場合もあるが、早めの内服治療を行ったほうが後遺症残さずに完治する場合が多いので、早めの医療機関受診が大切と菅原氏は説明する。
治療の中心は内服治療。顔面神経の腫れを改善するために、ステロイド治療を行うという。ときには、抗ウイルス薬であるアシクロビルを投与する場合も。また、神経の回復を促すビタミンB12を加えることもあるという。
一般的には入院治療は必要がなく、外来通院が主体になるが、顔面麻痺の程度が重い場合は入院をして点滴治療になることもあるという。
最初の1~2週間は蒸しタオルなどで1日2回温めて血の巡りをよくすることが重要で、顔の筋肉の動きが出てくるまでの間は無理に動かし過ぎないほうがよく、「顔面神経麻痺の改善は時間がかかるので、ゆっくり、あせらず取り組みましょう」と菅原氏は述べる。
ベル麻痺の再発リスク・後遺症
8割以上は完治するベル麻痺ですが、瞬きができない、口元が完全に閉じないなど麻痺の程度が強く、治療が遅れてしまった場合は、後遺症が残ることもあるという。
内服治療を行ったのにもかかわらず重度の顔面神経麻痺が残った場合は、神経移植術などの手術治療を行う場合もあるという。
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