年末年始は誤飲事故リスクが増加!? 国内メーカー初の「苦み成分」を塗布したコイン形リチウム電池を体験
こどもの誤飲事故が多いと言われるコイン形電池。国内メーカーで初めて「苦み成分」を塗布したコイン形リチウム電池が開発されたということなので体験取材会に行ってきました。
All About ニュース編集部
2025.12.19
パナソニック エナジー株式会社が、国内メーカーで初めて誤飲対策として「苦み成分」を塗布したコイン形リチウム電池の体験取材会を開催しました。
「苦み成分」を塗布したコイン形リチウム電池
年末年始は特に注意! 子どもの誤飲事故リスクが増加
これから迎える年末年始は、子どもの誤飲事故リスクが高まる時期。クリスマスイベントやお正月の帰省など、いつもと違う環境でプレゼントや飾り物に接する機会が多いため、消費者庁でも子どもの誤飲事故に対する注意喚起を行なっています。
(画像は消費者庁ホームページより)
パナソニック エナジーが全国の保護者408名を対象に行った調査でも、不安を感じている家庭内事故の1位は「誤飲」であり、その可能性を感じるものとして「コイン形電池」が上位に。7割を超える保護者が「誤飲対策がなされた電池」を希望していることがわかりました。
そもそも、コイン形電池を誤飲すると何が危険なのか。登壇した松下記念病院小児科部長の磯田賢一先生は「食道にとどまると、化学反応による炎症をおこしてしまう」と説明。誤飲から2時間ほどで危険な粘膜損傷がはじまり、重篤な合併症も引き起こす可能性も。
あわてて無理に吐かせようとすると気管に入ってしまう恐れがあり、また水などを飲ませるのも取り出しづらくなって逆効果。しばらく様子を見るのも誤った対応です。
磯田先生は「誤飲した恐れがある場合にはためらわず、医療機関か119番にすぐ電話相談をお願いします」と早急な搬送の重要性を訴えました。
国内メーカー初! 苦み成分を塗布したコイン形電池
このような誤飲事故を防ぐため、国内メーカーで初めて発売されたのが「苦み成分」を塗布したコイン形リチウム電池です。
自身も二人のお子さんを育てる製品企画担当の畑聖子さんは「企業側で未然に防止することを考えなければ事故はなくならない」という覚悟と使命感を持って企画したそうです。
塗布されているのは、世界一苦い物質とされる「安息香酸デナトニウム」。ルーペで見てみると、負極面の片側に弧を描くようにポツポツと塗られていることがわかります。
これだけで本当に苦味を感じるのか不思議でしたが、同じように塗られているスプーンを実際に舐めて見ると、ビールの苦味を濃縮したような苦みが口の中に広がりました。
大人でも眉をひそめる苦みなので、これなら子どもが誤飲しかけた際に吐き出させることができそうだと感じました。
苦味だけじゃない進化。こだわりの開発秘話
全面に塗られていないのは、苦み成分が電気を通さない物質だからです。製品技術担当の古橋卓弥さんによると「誤飲リスクと通電不良リスクのトレードオフが本開発のキモでした」とのこと。様々な電子機器を借り集めて端子位置を調査し、最適な塗布量と配置を決定したそうです。
また、変更点は苦み成分だけではありません。内部設計を見直すことで長期保管でも劣化しにくく改良。使用推奨期限をそれまでの5年から10年に伸ばすことに成功しました。
「パッケージに記載された『10年保存可能』という小さな文字の裏側には、数年間積み上げた検証結果が詰まっています」と語る古橋さん。ただ苦み成分を塗っただけではない、安全性や機能性、そして保存性を実現するための企業努力によって生まれた製品であることが伝わる開発秘話でした。
今回の新製品は、CR2032E・CR2025E・CR2016Eの3品種4品番で、2025年10月から発売中。前製品から引き続き、手では開けられず3方向にハサミを入れないと取り出せない「誤飲対策パッケージ」を採用しています。
苦み成分塗布と誤飲対策パッケージ。「子どもを守る2つの誤飲対策」が新製品の目印です。年末年始の買い置きに、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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