平野健二社長の講演に加えて、東京工科大学コンピュータサイエンス学部・中西崇文教授との「AI時代の組織論」に関するトークセッションも行われました。
日本はAIを信頼していない⁉︎ 世界31ヵ国での調査で判明
講演のはじめに、世界 31 カ国・37,500 人を対象にしたアデコの2025年次調査レポート「Global Workforce of the Future」を振り返りました。
アデコでは、積極的にスキルアップを図って新しい技術に適応することでAI時代に対応できる人材を「未来対応型の働き手」と定義していますが、該当する日本の働き手はわずか16%と、世界平均の半分以下という結果に。
外国人・デジタル・地方人材を強化する「未来共創人財プロジェクト」
この未来対応型の働き手を輩出・育成する成長戦略が、5つの領域からなる「未来共創人財プロジェクト~Future Talent Project~」です。2030 成長戦略Ⅰ
派遣ビジネスの強化として、キャリア支援だけでなく職場に馴染めるよう就業後もサポートするカルチャーフィットの推進など、人とAIの協働による価値の創出を目指します。
2030 成長戦略Ⅱ
また、アウトソーシング事業の強化として、AIによる効率化と業務プロセスの改善を官公庁など自治体向け・民間企業向けの両面から拡大していきます。
2030 成長戦略Ⅲ
さらに、本プロジェクトの特徴は「外国人材」「デジタル人材」「地方人材」の強化に力を入れていること。外国人材向けビジネスの拡大として、日本語能力をはじめとした様々なキャリア支援や生活支援など、外国人材が安心して活躍できる環境を構築します。
2030 成長戦略Ⅳ
デジタル人材不足の解消としては、事務系人材のリスキリングやエンジニア育成プログラムによる職種転換によって、成長分野への労働移動を図ります。
2030 成長戦略Ⅴ
そして、地方の雇用創出に向けては、氷河期世代の雇用やDX化の遅れなど、地方が抱える社会課題への解決支援を通じて地方創生に貢献します。
完璧主義からトライ&エラーへ。AI時代の組織論
続いて、東京工科大学コンピュータサイエンス学部の中西崇文教授も登壇し、トークセッション「経営と現場、両輪から考える AI 時代に人が生きる 未来の組織とは」を実施。
AIをどう使うかを考える
「日本はAIの信用性が低い」という先ほどの調査結果について、「いかにも本当のような間違った情報を出すAIに対して、保守的な反応をしてしまうのでは」と考察する平野社長。経営陣が積極的にAIへの理解を深めて、ガバナンスの整備も含めたリーダーシップを取るべきだと語りました。それを受けて中西教授は「AIはあくまでもそれらしい答えを作ってくれる機械であり、真実を語ってくれる機械ではない。つまり100%ではないということ。日本はだから使えないになってしまうが、外国はだからこそどう使うかを考える」と説明。
さらに「AIはトライアンドエラーを何度も繰り返せる機械。上司の時間を奪わずに密な企画書を作成できる」と、人とAIとの共存はチャンスであると断言する中西教授。
平野社長も「生産性が上がって余力ができることで、価値のあるアイデアや組織のトランスフォーメーションにつながる。企業としてもチャンスが広がっている」と考えを支持しました。
また、中西教授は「AIをチューターやメンターとして使うのが効果的であるという論文が出ている」と、AIを使ったリスキリングの可能性についても示唆。「リスキリングは一度きりではなく、発展していくAIとともに続けていくことが重要」と語りました。
それを受けて平野社長は「AIより前からリスキリングの重要性は言われてきたこと。働き手が自分のキャリアを考えて、主体的に取り組む。企業側もその機会を提供し続けるという双方の動きが大事。それによって未来対応型の働き手が輩出できると考えます」と、今回のプロジェクトの意義を改めて強調しました。
平野社長も、経営者の立場から「働き手に対して環境を整備するのは当然大事だが、働き手は経営者をちゃんと見ている。経営者自身もしっかり学んでいく」と語り、「双方が取り組むことで、AI活用で遅れを取っている日本が世界に追いつく日も近いんじゃないか」と笑顔を見せて、トークセッションは終了しました。
外国人材・地方人材・デジタル人材の育成と、共創する企業や社会の支援を軸に、AI時代における未来対応型の働き手を増やす「未来共創人財プロジェクト」。
詳細は以下の公式サイトをご覧ください。
https://www.adeccogroup.jp/
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