ガーデニングやプランター、観葉植物用に使い余ってしまった土は、どのように処理したら良いのでしょうか。思い返してみると、一般ごみ捨て場所で「土」を見かけることはありません。自治体の案内で「土の捨て方」についての説明を読んだことがある人も、少ないかもしれません。
本記事では、家庭で発生した土の捨て方について解説します。賃貸暮らしの多い東京都23区それぞれの対応についても全て調べたので、ぜひ参考にしてみてください。
【目次】
・土は一般ごみで出せない
・家庭で不要土が発生するシチュエーションとは
・不要土の代表的な捨て方4つ
(1)自宅の庭にまく
(2)土を購入した店で引き取ってもらう
(3)ホームセンターのサービスを利用する
(4)不用品回収業者に頼む
・東京都23区別の対応まとめ
・捨てる以外の方法とアイデア
・土の不法投棄は絶対にだめ! 正しい方法で捨てよう
■土は一般ごみで出せない
ガーデニングや観葉植物の植替えなどで発生した土は、一般ごみとして出すことはできません。まれに一般ごみや粗大ごみとして引き取ってくれる自治体はあるものの、ほとんどの自治体では引き取り不可です。
・土を一般ごみで捨ててはいけない理由は2つ
理由は2つあります。1つ目は「自然物であり、廃棄物ではないから」です。ガーデニング用に作った土であっても、土は土でしかありません。道端にあるものと同じです。そう考えると、自然物を「一般ごみ」として引き取るのが難しいのも分かります。
2つ目は、「焼却処分できないから」です。土を燃やして処分するのもおかしな話ですが、実際に一般家庭から土を引き取り、まとめて燃やすのは難しいようです。むしろ、キャンプのたき火に土をかぶせて消火するといった使い方のほうがイメージが湧きます。つまり、「土は燃やせない」というシンプルな理由ですね。
以上の2つから、土は一般ごみとして引き取ってくれない自治体がほとんど、となります。
■家庭で不要土が発生するシチュエーションとは
土の捨て方の解説の前に、ここでは一般家庭で不要な土が発生するシーンを考えてみます。本記事では次の3つについて見ていきましょう。- ガーデニングや観葉植物の植替え時
- 台風など災害への備え
- 庭づくり
1. ガーデニングや観葉植物の植え替え
最も多いのが「ガーデニングや観葉植物の植え替え時」です。ホームセンターなどで鉢植えなどと一緒に購入してきた土が余ったり、植え替えた後に古い土が残ります。家庭菜園をプランターでやっていて、やめてしまったときなども発生するタイミングです。
2. 台風などの災害に備えて用意した土のう
台風の影響による浸水を防いだり、屋外にあるものを押さえる重しに使ったりなどで、「土のう」を用いるケースがあります。
浸水で屋内に水が侵入したり、自分の家の物が他人の家に飛ばされて賠償問題に発展するといったトラブルを未然に防ぐためなので、用意しているときは必死です。
反面、台風が過ぎてしまえば、邪魔になってしまいます。使った土のうの量が多ければ多いほど、自力での処分が困難になってしまうものです。
3. 庭づくりで新しく土や敷石を購入したとき
庭付きの持ち家や戸建賃貸の場合、庭づくりに大量の土や敷石を使うときがあります。余ってしまった敷石や土も、量によっては処分に困るものです。
特に庭づくりは、外構デザインや防犯などで大きめの砂利、レンガブロックなど、土以外の物が発生するケースも。石やレンガブロックも土と似たような扱いになるので、覚えておきましょう。
■不要土の代表的な捨て方4つ
ここからは、具体的な土の捨て方を紹介します。国内での土の処分方法は、次の4つのパターンがほとんどです。
(1)自宅の庭にまく
(2)土を購入した店で引き取ってもらう
(3)ホームセンターのサービスを利用する
(4)不用品回収業者に依頼する
こうしてみると、ほぼすべて自治体以外の民間業者に依頼する方法となっています。順番に見ていきましょう。
(1)自宅の庭にまく
敷地内に土を捨てられるスペースがあれば、それらを利用するのが最も手軽でコストも抑えられる方法といえます。ガーデニングや家庭菜園で使ったプランターの土程度の量であれば、さほど問題なく処分できるでしょう。
砂利などを敷いて庭を作っている家なら、砂利を退かしてから土をまくのも良い方法です。
メリット:最も手軽に処分できる。費用も無料
デメリット:庭のある家に限られる。コンクリート敷き詰めの庭も不可
(2)土を購入した店で引き取ってもらう(新しい土を買った店で引き取ってくれることも)
土を購入した店で引き取ってもらう方法もあります。店の方針や条件次第ですが、こちらもコストを抑えて処分できるのがメリットです。園芸用土メーカーなどを利用した買い替えの場合は、新しい土と引き換えに不要な土を引き取ってもらえるケースもあります。
メリット:買った店なので相談しやすい
デメリット:自分で持っていく必要がある。新しく土を購入する場合に限る
(3)ホームセンターのサービスを利用する
ホームセンターがガーデニングや観葉植物で使ったプランターの土の引き取りを実施している場合もあります。近年では、環境保護を目的に積極的に回収サービスを行っている店もあるようです。
具体的に、回収サービスを実施しているホームセンターをいくつか紹介します。
- 島忠ホームズ:土を引き取ってもらうためには島忠で商品を購入する必要あり。一部実施していない店舗あり
- ユニディ:いらなくなった土の回収ボックスを設置。申し込み不要だがユニディで何か商品を購入する必要あり
- ジョイフル本田:ジョイフル本田で購入した土の袋にいらない土を詰めて持っていけば引き取ってくれる。大きな石や砂利は取り除いておく必要あり
それぞれ引取条件が異なるので、事前に調べてから依頼するようにしましょう。
メリット:必ずしも土の買い替えでなくても良い
デメリット:対応している店が少ない。自分で持って行かないといけない
(4)不用品回収業者に頼む
4つ目は、「不用品回収業者に依頼する」という方法です。最も現実的で確実かもしれません。
不要土以外にも、プランターや植木鉢、石や砂利、その他、家庭で不要になったものも一緒に依頼できます。家庭で出る程度の量なら対応してくれるでしょう。
利用する場合は、住んでいるエリアに対応している不用品回収業者に、不要土引き取りの可否をしっかり確認しておくのが無難です。回収費用には「基本料金」や「出張費」など、思わぬ出費がかさむかもしれません。
業者に回収された土は「産業廃棄物」として扱われ、専門業者に引き渡されます。園芸用土メーカーと提携して、リサイクルに回す業者も。
また、土の回収は不用品回収業者のWebサイトに記載されていない場合もあるので、まずは事前に問い合わせてみることが大切です。
メリット:対応していれば依頼しやすい。対応している業者も見つけやすい
デメリット:人件費など思わぬ費用がかさむ場合がある
■東京都23区別の対応まとめ
ここでは東京23区に絞って各自治体の対応を見ていきましょう。基本的には取り扱っていない場合がほとんどですが、各自治体ごとに若干対応が異なります。
東京都23区で回収していない自治体17区の対応
東京都23区で回収していない自治体の中で「販売店か各区の清掃事務所に要相談」としているのが、次の10区です。- 文京区
- 墨田区
- 江東区
- 目黒区
- 世田谷区
- 渋谷区
- 北区
- 板橋区
- 練馬区
- 葛飾区
次の7区は「販売店やメーカー、専門業者に相談」としています。
- 足立区
- 中野区
- 大田区
- 杉並区
- 豊島区
- 荒川区
- 港区
東京都中央区の対応
東京都中央区は、中央清掃事務所で、家庭で発生したガーデニングや観葉植物で使った土を回収しリサイクルしています。該当箇所は京橋7カ所、日本橋6カ所、月島5カ所です。
1日に持ち込みできるのは、1世帯あたり20リットル袋1つまで。小石や植物の根、枯れた草、枝などを取り除き、ビニール袋などに入れて回収場所まで持っていってください。
東京都台東区の対応
東京都台東区は、一部の小学校や「環境ふれあい館ひまわり」などで、園芸用土の回収を実施しています。日時は土曜日、1度に引き取ってくれる量は、20リットル袋1つまでです。小石や植物の根、枯れた草、枝などを取り除き、半透明のビニール袋に入れて持ち込んでほしいとのこと。東京都新宿区の対応
東京都新宿区は、区の清掃事務所に問い合わせるほか、「一戸建てなら自宅の庭に、集合住宅なら共用部分の土のあるスペースに戻してください」としています。
東京都品川区の対応
東京都品川区では、小学校や地域センターなど約30カ所で資源として回収を実施しています。詳しい場所は区の公式Webサイトなどを確認してください。
1度に出せる量は明記されていませんが、「プランター2個ほど」とあるので、そこまでたくさんは持ち込めないようです。小石や植物の根、枯れた草、枝などを取り除き、ビニール袋などに入れて回収場所まで持っていってください。
東京都江戸川区
区の取り組み「緑の3R」により、無償回収を実施しています。自治体の公式Webサイトを確認し問い合わせてみましょう。持ち込むときは、小石や植物の根、枯れた草、枝などを取り除き、丈夫な袋に入れて回収場所まで持っていってください。
■捨てる以外の方法とアイデア
ここからは、捨てる以外の方法について紹介します。もともとガーデニングや観葉植物用として使っていた土のため、再利用したりコンポストを自作するなど、さまざまなアイデアが考えられます。
土作りをして再利用する
ガーデニングや家庭菜園をまたやりたい場合は、新しく買い替えるほかに、土を再利用する方法もあります。
再利用する場合は、根や枯葉、小石などを取り除き、ビニールシートの上などで1度ふるいにかけてください。土全体に水をかけて湿らせたら、ポリ袋などに入れ2〜3週間かけて天日干しをします。
乾燥させ、消毒殺菌したら肥料などを加えると、再度園芸用土として使用可能です。時間と手間がかかりますが、土作りを知っておくと、趣味としてのガーデニング、園芸の幅も広がるのでぜひ挑戦してみましょう。
自治体のごみとして出せる土も売っている
園芸用土の中には、ごみとして出せるタイプも販売しています。代表的なものをいくつか集めてみました。- 【燃やせるごみとして捨てられる】エココソイル
- あとラク観葉・多肉の土
- すてられる土
- KAGOME かる〜い野菜の土(自治体による)
家庭用生ごみコンポストの土として使ってみる
不要になった土は、家庭で出た生ごみ処理用の「コンポスト」に活用する方法もあります。ホームセンターなどに売っているバケツやゴミ箱タイプの「コンポスター」などを使い、生ごみと一緒に土を入れることで、微生物の力を使って生ごみを分解する処理方法です。
うまく分解が進んだ生ごみは堆肥として再利用可能ですが、発酵促進微生物(菌類)が混ざった専用土(コンポスト用菌床)を用意する必要があるほか、分解中は虫が発生して近所に迷惑がかからないように配慮するなど、注意点もあります。
特に、東京23区のような住居が密集したエリアでは扱いに十分注意を払って行う必要があるため、詳しい人に聞くなど、しっかりと検討してから実践しましょう。
■土の不法投棄は絶対にだめ! 正しい方法で捨てよう
家庭で発生した土の捨て方について解説しました。
土は、自治体が実施している一般ごみとしては回収できない場合がほとんどとなるため、自分で処分しなければなりません。間違っても、公園などの公共施設、一般道路沿い、河川敷などに勝手に捨ててはいけません。不法投棄が見つかった場合は、罰せられる可能性もあります。
しかし、ガーデニングや観葉植物用、家庭菜園などに使用し、余ったり不要になったりした土は、手に余るのも確かです。
本記事で紹介した処分方法や捨てる以外のアイデアを参考に、最後まで責任を持って対処するようにしましょう。