完成検査員の筆記試験で解答が漏れていた?
11月7日、日産自動車は国内向けの車両生産と出荷を再開したと発表した。完成検査の不正問題を解決して、一応は再スタートを切ったことになる。
しかし、新たに浮上した問題はさらにブランド失墜に拍車を掛ける可能性がある。日産によると、「第三者調査チームにより完成検査員任命・教育プログラム運用面での瑕疵(かし)が発見され、今後間違いない生産準備とするために再教育・再試験などの追加の改善措置を講じます」というもので、「瑕疵」とは一部報道によると、完成検査員になる際の筆記試験で事前に解答が漏れていたというのだ。
これが事実であれば、すでに同社で任命され、業務に従事している完成検査員の資質も問われかねない事態で、日産の完成検査が正常に戻るにはかなりの時間がかかるかもしれない。
影響は販売面に直撃…ノートは25位に減らす
今回の影響は販売面に直撃している。日本自動車販売協会連合会(自販連)の調べによると、2017年10月の登録車(軽自動車をのぞく)の新車ランキングで、日産車が1台も入っていない。
なお、同じデータ(登録車の販売ランキング)において9月は、ノートが15,469台で1位だったが、10月のノートは2,741台で25位に大きく台数を減らした。10月の日産車トップ(登録車)は、新型リーフの3,629台で前年同月比707.4%と大きく伸ばしたが、19位にとどまっている。
三菱自動車が生産する軽自動車も前年同月比マイナスに
これは、国内向けの出荷停止で登録ができないことが販売が落ち込んだ主因と考えられるが、今回の完成検査の不正問題とは無関係(つまりシロだった)
全国軽自動車協会連合会(全軽自協)によると、日産デイズが前年同月比マイナス62.8%と、ブランド違いで同じクルマである三菱eKの前年同月比マイナス80.8%と比較すると減少幅が大きくなっているのだ。
今回の完成検査の不正問題で、国土交通省は事態を重く見ていて、制度の不備や制度疲労という課題はあるものの、ルールを守る態勢と土壌を構築することが信頼回復への一歩になりそうだ。