自動運転技術の一部はすでに実用化されている
主に高速道路など、自動車専用道での使用を前提としている自動運転技術は、自動的に車間距離を調整するアダプティブクルーズコントロール、ステアリングやブレーキに介入することで、車線維持をするレーンキープなどがすでに実用化されている。
現時点ではあくまで運転の責任はドライバーにあり、車両側はサポート、補佐役に過ぎず、日本も自動運転レベルの定義として採り入れている「SAE」の部分自動運転の「レベル2」に相当する。
なお、無資格者検査により、「やっちゃえ」というCMを引き合いに出されて揶揄されている最近の日産だが、そのコピーが使われたCMの「プロパイロット」でも「高速道路同一車線自動運転技術」と長い注釈を入れている。
アウディは2018年からドイツで「レベル3」を投入
さて、今回の東京モーターショーでは、アウディがすでにフランクフルトモーターショーで披露した「レベル4」のコンセプトカー「Elaine concept」を披露したほか、先述した「レベル3」を量産車で初めて採用するとしている新型アウディA8も披露されている。
「レベル3」では条件が整えば自動運転に移行する(万一の際に備えてドライバーがすぐにステアリングを握れる状態は不可欠)。アウディではその際に起きた事故には責任を負うとしているが、ドイツのように2018年から「レベル3」に対応した新型アウディA8を日本で投入するのは法整備の問題から難しいのではないだろうか。
自動車メーカーだけでなく、サプライヤーも技術を磨いている
さて、ここまでは東京モーターショー以前から分かっていたことで、各自動車メーカーよりもサプライヤーと呼ばれる部品メーカーなどのアピールが東京モーターショーでは目立っていた。
自動運転技術を実現するには、認知を担うセンサーが不可欠で、現在すでに実用化されているカメラ、ミリ波レーダー、レーザー光を使ったレーダーである「LiDAR(ライダー/ Light Detection and Ranging)」などの最新技術を各社が披露。
たとえばパイオニアはすでに自動車メーカーなどにサンプル出荷しているという小型の3D LiDARを初披露。三菱電機は、カメラ、ミリ波レーダー、準天頂衛星対応高精度ロケータなどを搭載した自動運転技術車を紹介。こちらはすでに2016年5月から高速道路で実証実験が実施されている。
さらに、SUBARUの「アイサイト」のステレオカメラでも知られる日立オートモーティブシステムズは、自動運転のシステムが故障した際に安全にドライバーに運転を引き継ぐ技術の開発も発表している。
自動運転への課題は?
法整備の問題だけでなく、実現間近の「レベル3」でも実際の走行では実証実験では表面化してこなかった問題点も浮上するかもしれない。たとえば、まだ、圧倒的に非自動運転車が多い中で、自動運転車がごくまれに混在するリスクや自動運転技術車に欠かせない「コネクテッド」カーには、ハッキングのリスクもある。
ほかにも、自動運転技術に欠かせない高精度な3D地図の作成や道路整備(車線の整備など)といった課題もありそう。「自動運転」も「EVシフト」と同様に、広く一般に普及するのは10年くらい先になってもおかしくはなさそうだ。