日産に続きSUBARUでも完成検査の不正が発覚
完成検査の不適切な取り扱い問題で、国内向けの出荷を停止している日産自動車。10月6日に約166万台のリコールの届け出をし、さらに西川廣人社長の謝罪後も無資格者が完成検査の一部を行うなどにより、25日にはさらに約3万8000台のリコールの届け出をしている。
東京モーターショーには、完成検査の不正問題もあってか日産の西川社長はプレスカンファレンスに登壇しなかった。
国土交通省は、その他の国内自動車メーカーに対しても調査するように指示していたが、10月27日の朝刊各紙などで報道されたように、SUBARUも完成検査で不適切な取り扱いがあったと発表した。
SUBARUは、9月29日(金)夜に国交省から調査指示があり、2日(月)に調査し、3日(火)に無資格な検査員による完成検査が発覚し、そうした完成検査を取りやめている。ただ、発表が27日となった点において真偽のほどは分からないが、東京モーターショーのプレスカンファレンスが終わってから明らかにしたのでは? と勘ぐられても仕方のないといえるタイミングでもある(ただし、記者発表では吉永泰之社長は社内規定の精査と国交省への問い合わせに時間がかかり、発表がこのタイミングになったと説明している)。
SUBARUではどんな検査業務が行われていた?
さて、SUBARUの業務規定では、完成検査員登用にあたって、現場経験の期間が必要と義務付けているそうで、完成検査工程の完成検査員と同じく、十分な知識と技能を100%身に付けたと現場管理者(係長)が認定した者が検査業務に従事させていたそう。
つまり、同社規定による完成検査員ではないものの、経験のある無資格者にも担当させていたことになり、型式指定申請書にある上位規定とは異なる運用になっていたことになる。
また、日産と同様、まだ資格を得ていない完成検査員の予備軍といえる検査員が完成検査員の代行押印をしていたという。
これらの仕組みは30年以上前から運用されている。
完成検査員予備軍は全社で4人、完成検査員は245人
SUBARUでは、完成検査の人員は、設定された期間までは監督者のもと、完成検査業務に従事。当該期間を経て、さらに社内の筆記試験に合格すると完成検査員という呼称が付され、原則監視下から外されるそう。 なお、前者は2017年10月1日現在で4人、完成検査員は245人いるという。過去4年さかのぼると、最大で17人、平均で8人が無資格な状態で完成検査業務を行っていたという。
今後の対応については、完成検査の透明性を高め、将来に渡って誤った運用や解釈が生じないように、改めて規定を体系的に整理し直すとしている。なお、25万台強(50億円強)という対象車両に関しては、市場措置(リコール)を行うという。10月30日にSUBARUが国交省に届け出るとしている。なお、OEMで供給しているトヨタの一部車種も含まれる。
国土交通省の曖昧な通達には見直しの必要性も
日産の問題では、「検査に必要な知識及び技能を有する者のうち、あらかじめ指名された者」という国土交通省のざっくりとした通達にも問題があるという指摘もあるし、完成検査員になるまでの規定はメーカー任せになっている。
国土交通省や石井啓一大臣は、一部報道によると完成検査の見直しに触れているようだが、曖昧な通達内容は見直す必要があるのかもしれない。