なぜ軽自動車の価格が上がっているのか?
軽自動車の車両価格が200万円を超える――。10年前では考えられなかったことだが、8月31日に発表され、9月1日から発売された新型ホンダN-BOXの一部グレードはついに大台を超えた。価格が上がっている理由、軽自動車の価値を新型N-BOXを交えながら考えてみたい。
初代は同社史上最速で100万台を突破
いまやホンダを支える大黒柱のホンダN-BOX。初代は同社史上最速で100万台を突破し、発表されたばかりの新型シビックよりも一部のクルマ好きをのぞいた、一般の注目度は高いかもしれない。
2代目にスイッチした新型ホンダN-BOX/N-BOXカスタムの価格帯は、138万5640円〜208万0080円。ついに、最上級グレードの4WDモデルが200万円を超えた。
先代はモデューロというカスタマイズモデルが一部200万円を超えていたが、軽のカタログモデルでは異例で、ホンダのコンパクトミニバンであるフリードの一部ガソリン仕様を超えるプライスタグをぶら下げているのだ。
二極化が進む軽自動車
いまに始まったことではないが、軽自動車は完全に二極化、あるいは三極化というような状況になっていて、さらに時代が要求する安全装備(被害軽減ブレーキなど)により軽自動全体の価格が押し上げられている。
ホンダでいえば、約11年前(2006年2月)に発売されたゼストという軽自動車は103万円台から157万円台に収まっている。なお、2011年12月に発売された初代N-BOXは124万円〜178万円だった。
ホンダN-BOXのようにファーストカーとしても使われている最上級クラスは、広くて装備も充実しているのはもちろん、内・外装の見栄え、安全装備も最新かつフル装備状態を揃える(もしくはオプションで選べる)ことが必須だ。
新型N-BOXは最新の安全装備が全部のせ
新型N-BOXも例に漏れず、プラットフォーム、パワートレーンを一新(これだけでもコストは掛かるが、回収できる見込みがあるのだろう)し、さらに最新の安全装備も全部のせ状態で基本的に用意している(一部グレードでは、最新安全装備を外すことも可能)。
これらにより価格が上昇し、さらに、先代を上回るシートアレンジや積載性などの使い勝手も盛り込むことで商品性を高めているが、当然価格にも跳ね上がってくる。
さらに、内・外装の見栄えも引き上げている。生産にまで手を入れることになり、新しい溶接技術を採り入れるなど、日本独自の規格である軽自動車にこれほどコストを掛けていることからもその意気込みが伝わってくる。
軽自動車を代表するヒット作になりそう
クルマには、当然ながらライバルが存在する。どれだけ高性能で多機能であっても、ほかと比較しながら購入の検討を進めていくだけに、初代を上回るヒットになるのか、あるいは「もう少し安いクラスの軽自動車でいいや」と流れてしまうのはふたを開けてみなければ分からない。
しかし、その装備や性能、広さや使い勝手などの完成度からすると、初代からの代替えを含めて、新型N-BOXも軽自動車を代表するヒット作になる可能性が高そう。ファーストカーとして軽自動車を選択する層をさらに広げるかもしれない。