トヨタと包括提携をしているスズキの動きは?
スズキの業績が好調だ。2017年8月3日、2018年3月期の第1四半期決算を発表し、増収増益、各利益最高だという。FCAから供給を受けているディーゼルエンジンの不正疑惑問題(日本での販売はない)もある中、トヨタとの包括提携も含めてスズキの今後はどうなるのだろうか。
スズキの決算発表の翌日、トヨタとマツダの業務資本提携が発表された。去る2017年2月6日、スズキもトヨタとの包括提携を発表し、環境や安全、情報などの技術、商品・ユニット補完など(OEM供給)に関して、協業の実現に向けて検討に入ることを合意している。
スズキの開発陣などの現場の方にトヨタとの提携について伺うと、「まだ何も(協業など)現場まではおりてきていません」という声が聞かれる。実際にまだ何も進んでいないのか、まだ何もおりてきていないのか分からないが、トヨタとマツダの業務資本提携が水面下で進んだように、両社の上層部により協議されているのではないだろうか。
2018年第1四半期の純利益は72.4%増の654億円。好調を支える車種は?
トヨタとの包括提携が具現化する前の現在、先述したようにスズキは販売も利益も好調だ。2018年第1四半期の連結売上高は8,693億円と前年同期に比べて1,153億円(15.3%)増加している。純利益は72.4%増の654億円。
足元の国内は、新型ワゴンRなどの軽自動車が好調で、2,669億円と前年同期に比べて169億円(6.8%)増加している。コンパクトカーのスイフトもフルハイブリッド仕様を追加設定し、日本でのさらに拡販を目指しているところだ。
海外で販売増も、今後はディーゼルエンジン不正疑惑のが影響する
海外は、インドや欧州などでの新車販売に加えて、二輪車の販売増もあって6,024億円と前年同期に比べて実に984億円(19.5%)も増えている。
具体的には、欧州ではコンパクトSUVのイグニス、マイナーチェンジを受けたSX4クロスといったSUVが好調で、ドイツ、イタリア、フランス、スペインなどで大きく増加。ただし、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)から供給を受けているディーゼルエンジンに不正疑惑があり、一部報道によると、記者会見では「FCAが対応する」というやりとりがあったそうで、欧州での販売減につながりかねないリスクといえるかもしれない。
スズキの稼ぎ頭であるインドでは、新型ディザイアを投入した効果などで第1四半期過去最高を記録したという。
現状では好調なセールスを続けているスズキ。この間にトヨタとの包括提携を前に進め、スズキらしさを維持しながらEVや「つながるクルマ」への対応、先進安全装備の具現化を急ぎたいところではないだろうか。