トヨタの新プラットフォームのみならず、クルマ作りそのものを示す「TNGA(Toyota New Global Architecture)」。第1弾は現行の新型プリウス(新型プリウスPHV含む)、第2弾が好調な販売が続くSUVの新型C-HR、そして第3弾がセダンの新型カムリだ。ミドルサイズの新型カムリにはトヨタの並々ならぬ決意が込められている。セダン低調のいま、復権なるだろうか?
トヨタを代表する基幹車種
1980年、セリカのセダンバージョンとして登場した初代カムリの車名は、日本語の「冠(かんむり)」から由来している。日本の大衆車として一時代を築いたカローラよりも上のクラスのセダンとして長年支持されてきたが、日本では先代からハイブリッド専用車になっている。なお、北米でトヨタのセダンといえばカムリといえるほど定着していて、まさにグローバルで見ればまさにトヨタの基幹車種なのだ。
セダン市場が縮小する中でも販売網を拡大
しかし、SUVブームが世界的に巻き起こる中、とくに日本のセダン市場はシュリンクしている。トヨタも重々承知の中、販売チャネルを従来からのトヨタカローラ店に加えて、ネッツ店、トヨペット店にも拡大。全4チャンネルを抱えるトヨタ販売網のうち3店での体制となった。
取り扱いチャネルを増やしたのはもちろん拡販するためだ。そうはいっても、売るためには、商品力強化が不可欠。
そこで、先述したように「TNGA」に加えて、最大熱効率41%というガソリンエンジントップレベルの高効率化、そして自慢のハイブリッドシステムも磨き上げることで、33.4km/Lという低燃費を実現している。
内・外装のデザインを若々しくスポーティに仕立てた
しかし、いまや低燃費なのは当たり前で、「それならプリウスを買えばいいだろう」という声も聞こえてきそうだ。今回の新型カムリは、従来よりも内・外装のデザインを若々しくスポーティに仕立て、さらにメインカラーも赤を使っている。
主なターゲット層は50代以上だというが、現行プリウスは好みが分かれそうな思い切ったデザインを採用しているのに加えて、新型C-HRも同様にかなり「攻めたデザイン」になっている。つまり、保守王道を行く「TNGA」を使った新型モデルはまだないといえる。
そうなると、セダンという保守的でありながらも大胆かつスタイリッシュなデザインに生まれ変わった新型カムリは、感覚が若い今どきの50代以上にも受けそうだし、さらにトヨタが狙いたいとしているもっと若い層にも「刺さる」かもしれない。
セダン市場は縮小しているが輸入セダンは売れている
セダン市場が縮小しているとはいっても、メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズなどの輸入セダンは売れまくっている。ブランド力だけでなく、デザインや走りといった魅力があるから売れているわけで、新型カムリはデザイン、走りに非常に注力したセダンに仕上がっているという。さて、狙いどおりセダン復権を実現できるか注目だ。