「すぐに手術をすれば完治する」
歌舞伎俳優の中村獅童(44)が初期の肺腺がんと診断され、手術を受けると松竹が18日に発表した。予定していた「六月博多座大歌舞伎」と「歌舞伎座七月大歌舞伎」は休演となる。
肺腺がんは健康診断で見つかったといい、「すぐに手術をすれば完治する」と医師に言われたことを中村は明かしている。
参照:中村獅童さんが初期の肺腺がん 入院治療で6、7月の舞台休演/共同通信
肺腺がんとは?
国立がん研究センターがん情報サービスによると、肺腺がんは、肺の腺組織とよばれる上皮組織から発生するがん。男性の肺がん全体の40%、女性の肺がん全体の70%以上を占めているという。
早期の段階で発見、治療が受けられるということで人間ドックや健康診断の重要性が再認識されたのではないだろうか。一方、健康診断で「肺に影がある」と言われた人にとっては、中村のニュースによって心配になるかもしれない。
これに関連し、健康診断の重要性と、万が一健康診断で肺に影があると言われた時の対処法について、医師の狭間研至氏がAll Aboutの『健康診断で肺に影があると言われたら…再検査?病気?』で解説をしている。
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健康診断の目的は早期発見!「疑わしきは罰する」が基本
狭間によると、健康診断の目的は、「がん」などの病気を早期に発見し、治療を行うことで、病気への治療成績を向上させること。たとえば、胸部レントゲン写真の場合も、肺がんや縦隔腫瘍などの胸部の悪性疾患を早く見つけることを目的にしているという。
「肺がんにしても縦隔腫瘍にしても、いわゆる『できもの』があると、通常は写らないような影が、胸部レントゲン写真には写ります。このような影が観察されたとき、検診を行う医師は『要精検』、すなわち、もう少し詳しく検査してくださいというコメントを出します」(狭間氏)
つまり、健康診断の目的から考えると、少しでも気になるような影があれば、「疑わしきは罰する」というのが基本的なスタンスで、「再検査」となるのだという。
どうして肺に影が映るの?
なお、肺に影がうつる原因は様々で、炎症によるものは代表例。過去に患った結核のあとなどが残っている例や、血管の蛇行や肋骨の重なり、女性の場合には乳頭が腫瘤状陰影になって写ることなどもあるようだ(詳細は『健康診断で肺に影があると言われたら…再検査?病気?』の解説を確認)。
「肺に影があるからといって、必ずしも肺がんとは限らず、むしろ、肺がんであることの方が少ないのが現実です」
肺に影があると言われた時にするべきこと
では、健康診断で肺に影があると言われたらどうすればよいのか。
狭間氏は、「健康診断の結果用紙に記載されている指示に従う」ということが大事だとする。
「医師のコメントが1年後に再検査を、というものであれば、まずは、肺がんや縦隔腫瘍など心配すべき状態ではないと考えてください。これは、通常、昨年以前のレントゲンと、今年の分とを見比べ変化がないことを確認できた場合ですので、まずは、良性の変化か、生理的な陰影と考えて良いと思います」
また、「すぐに再検査を」と言う場合には、できるだけ速やかにその指示に従う必要があるが、基本は「疑わしきは罰する」というスタンスであることを思い出し、淡々と検査を進めるべきだという。
早期発見・早期治療が、がんの治療の基本
1番避けたいのが、「健康診断で異常を言われているが、がんや大きな病気が見つかると怖いので、検査は受けていない」という状態だ。
「早期発見・早期治療が、がんの治療の基本です。あまり、心配しすぎることなく、検査を進めていくことが、あなたの大切な体を守る第一歩になることを、心に留めておいていただけたら、と思います」
今回の中村獅童の肺腺がんも、早期発見ができたからこそ早期治療が叶った。これを教訓に、健康診断の結果を真摯に受け止め、心配しすぎずに対応するようにしたい。
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