「プレミアム・フライデー」とはどんな制度?いつから?
経済ネタとして2017年初旬の話題になりそうなのが、プレミアム・フライデーという政府推しの“イベント”です。経済産業省が旗振りして経団連などの民間経済団体が相乗りした全国一斉早帰り運動で、月の最終金曜日を午後3時で終業として買い物やレジャーに勤しもう、という企画。2016年8月に構想がぶち上げられ、昨年末近くに年明け2月24日の金曜日にとりあえずスタートしてみようと公表され、急遽実施が決まったものです。
しかしながら、世の中の盛り上がりはどうでしょう。働く立場からすれば、本来なら個々人のプライベートタイムの充実につながると考えられるこの施策。企業従業員層からは歓迎されてしかるべきかとも思うのですが、どうでしょう。日本中の企業従業員たちが2月24日を心待ちにして盛り上がっている、というムードからは程遠く、むしろ他人事的に至って冷ややかに受け止められているという感じがしています。一体なぜなのでしょうか。
従業員目線、労働者目線を忘れていませんか?
何を持っても気になるのは、この企画が官庁は経済産業省の単独主導であるという点です。経済産業省の狙いは、「平成32年度名目GDP600兆円」という政府の大目標があり、そのためにはGDPの6割を占める個人消費を現在の300兆円から360兆円程度に引き上げることが欠かせないとされます。すなわち、個人消費の活性化が急務という理由から苦肉の策としてひねり出したのが、このプレミアム・フライデーであったわけなのです。
経済産業省はご存知、我が国の経済、産業を司る官庁です。今回のプレミアム・フライデー構想発案に際して口先では「余暇の充実」を掲げながらも、あくまで最終目的は消費喚起。経産省的目線で発想され、さらに経団連等を巻き込むことで経営者目線を取り込んでスタートに至っているのです。となると問題は、従業員目線、労働者目線を忘れていませんか、ということ。この企画を今ひとつ盛り上げきれていない理由は、この1点に尽きるのではないかと思うのです。
定着・成功には、実施日見直しも不可欠
その観点で見た際の最大のネックとも言えるのが、実施日の設定にあります。アメリカのブラック・フライデーを真似て最終金曜日にしたと言われるこの設定。月末近くに午後3時終業ということに対しては、ネット上でも「なんで月末近く?」「現場を知らないお役人発想」等、企業従業員の立場からの意見と思われる書き込みが多数見られます。確かに従業員の立場で考えるなら、月末近くの最終金曜日実施で期待できるのは、旗振りに巻き込まれた経団連主要大企業らのお付き合いぐらいのものではないのかとも思えます。
2月の実施がトライアルであるとするならそこでの成否は問わないとしても、今後のプレミアム・フライデーの定着・成功に向けては、実施日見直しを含め従業員目線、労働者目線を加えてものを考えることは不可欠でしょう。経済産業省は民間企業に協力を呼びかける前に、まずは道路を挟んでお隣の厚生労働省にお声掛けをして巻き込むことが成否のカギを握っているのではないでしょうか。