意外と知らないグルメのひみつ 第27回

物価高の今、頼りになる食材! 価格安定&栄養たっぷりの「スプラウト」ってどんな野菜?

【調理師免許を持つグルメライターが解説】スーパーの野菜売り場で見かける「スプラウト」。この「スプラウト」とは野菜の品種名ではなく、いろいろな野菜の新芽の総称のこと。工場で育てられるため価格は1年中安定しており、栄養も豊富。物価高の今、頼りになる食材です!

スーパーの野菜売り場で見かける「スプラウト」。この「スプラウト」とは野菜の品種名ではなく、いろいろな野菜の新芽の総称です。「発芽野菜」や「新芽野菜」とも呼ばれています。
エンドウ豆を発芽させた新芽「豆苗」

代表的なのは「かいわれ大根」。中国野菜の「豆苗」も今やすっかり食卓の定番ですよね。ちなみに「もやし」もスプラウトの仲間。工場で育てられるため価格は1年中安定しており、栄養も豊富。物価高の今、頼りになる食材です。調理師免許を持つグルメライターが、いろいろな種類から選べる「スプラウト」を紹介していきます。
 

スプラウトは、成長した野菜より栄養たっぷり


発芽したばかりのスプラウトは、成長に必要な栄養成分を自身で作り出していきます。そのため、ビタミンCをはじめ、ミネラルやカリウムなど、成長した野菜よりも多くのビタミンや酵素を含んでいる場合が多いのです。また豆苗には「βカロテン」、ブロッコリースプラウトには「スルフォラファン」という成分が豊富に含まれており、体内の解毒作用や抗酸化作用に有用であることが発見されています。
 

「もやし型」と「かいわれ型」がある

アルファルファ
スプラウトは栽培の仕方により、「もやし型」と「かいわれ型」に大きく分けられます。

「もやし型」は光を当てず、暗室で育てるため緑色にはなりません。種をつけたまま伸び、茎が太く育ちます。緑豆を原料とするもやしや、紫馬肥(むらさきうまごやし)というマメ科野菜の新芽「アルファルファ」などがこれにあたります。

また、大豆もやしには、もともとの大豆にはないビタミンCや消化酵素であるアミラーゼが含まれています。
 
かいわれ大根

一方で「かいわれ型」のスプラウトは、種から芽が出て伸びていきます。茎が育つまでは暗室で育て、ある程度の長さになったら光を当てて緑化させるのが特徴。そのため茎はひょろひょろと細長いものの、緑色の立派な葉をつけます。かいわれ大根や豆苗、青じそやラディッシュのスプラウトがこれにあたります。

そのほか、暗室で発芽させた後、すぐに緑化させる「中間型」もあります。発芽玄米やひよこ豆のスプラウトなどがこの形で育てられます。
 

ブロッコリーのほか、変わったスプラウトいろいろ

ブロッコリースプラウト

スプラウトの中でも特に栄養価が高いのが「ブロッコリースプラウト」。体の抗酸化力や解毒力をもつカロテンやビタミンC・E・Kが豊富です。さらに「スルフォラファン」が多く含まれています。味はかいわれ大根ほどの辛味はなく、シャキシャキした食感が特徴。
 
ちなみに、スプラウトの国内トップシェアである村上農園では「ブロッコリースプラウト」のほか、「ブロッコリースーパースプラウト」という商品も発売しています。主に収穫時期とスルフォラファンの含有量が異なります。
ブロッコリースーパースプラウト

「ブロッコリースプラウト」は発芽して1週間ほど経過してから収穫。成長したブロッコリーの7倍以上のスルフォラファンが含まれています。一方で「スーパースプラウト」は発芽3日目で収穫・出荷します。こちらはスルフォラファンが20倍以上の高濃度。また小さな新芽なので、柔らかな食感でマイルドな味わいです。
 
レッドキャベツスプラウト

鮮やかな紫色が印象的な「レッドキャベツスプラウト」は、料理に彩りを添える美しいスプラウトです。ビタミンKやカリウムのほか、特に葉酸を豊富に含みます。よくかむと、ほんのりとキャベツの甘みが感じられます。
 
マスタードスプラウト

西洋からし菜を使った「マスタードスプラウト」は、こってりした肉料理のトッピングにぴったり。ピリッとした辛さがアクセントになります。そのほか、青じそのスプラウトは、刺し身の薬味に。手巻き寿司の具にするのもおすすめです。
 

加熱せずそのまま食べるのがおすすめ


ひょろひょろと細いのに、たくさんの栄養を含んでいるスプラウト。低カロリーで低価格なのも買いやすいポイントです。栄養素を効率よく摂取するには、加熱せずに食べるのがおすすめ。

サラダはもちろん、冷製パスタに加えたり、料理の彩りにしたり。できたてのスープに浮かべるのもいいですね。それぞれ個性があるので、いろいろなスプラウトを使い分けてみてはいかがでしょうか。


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