海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン 第14回

日本人の給料は悲観するほど低くない? 日本とスイスの「職業別」平均年収を比べてみたら

日本人の年収は世界的に見ても「安い」のでしょうか? 筆者が暮らすスイスの年収と日本の年収を「職業別」でご紹介しましょう。

給料アップが見込めないどころか、物価上昇に伴う実質賃金の減少で、日本では賃上げ機運が高まっているようですね。2022年にも、アメリカの流通大手ウォルマートが「新人ドライバーを年収1400万円で雇用する」らしい、小室圭さんが合格したニューヨーク州の弁護士は年収が2000万円はくだらないらしいなど、驚きをもって報じられていました。
 

日本と海外とでは、年収や高収入の職種にもどうやら違いがある様子。そこで、今回は日本の平均年収ランキングと筆者の住むスイスのものをざっくり比較していきたいと思います。

日本人の年収は安すぎる?(※画像はイメージ)

日本 vs スイス「年収ランキング」トップ20

統計方法によって結果が異なることはよくありますし、円安・スイスフラン高の現状も鑑みると厳密な比較は困難ですが、この表から大まかな傾向を見てみると……。

日本とスイスの平均年収比較(筆者作成)※参考:日本=「令和3年賃金構造基本統計調査」厚生労働省、スイス=「Brutto Netto Rechner für die Schweiz」lohncomputer ※1スイスフラン=145円で換算(2023年3月13日時点)

日本の年収では医師(約1378万円)が堂々の1位、歯科医師(約787万円)が8位を獲得していますが、スイスでは8位に獣医(約1885万円)が、13位にようやく指導医(約1631万円)がランクイン。そしてスイスで8位の獣医は、日本でランキングトップの医師より高給となっています。
 

次に、日本では航空機操縦士が2位(約1072万円)、スイスでは航空機長が3位(約2393万円)で、いずれの国でもトップ3入り。
 

また、日本では航空機操縦士と同率2位だった大学教授(約1072万円)をはじめ、6位に大学准教授(約856万円)、11位に小・中学校教員(約699万円)、13位に大学講師・助教(約694万円)、14位に高等学校教員(約693万円)と教育関連の職業が続々とランクインしています。対するスイスでは、ランキング外の27位に辛うじて小学校教員(約1414万円)が入っており、教育関係では日本の方が圧倒的な強さを見せています。
 

日本の4位はその他経営・金融・保険業従事者(約1030万円)ですが、一方のスイスも「世界で最も国際競争力のある金融国」と評されるだけあり、ファイナンス関係の職業が1位のCFO / 最高財務責任者(約3959万円)、2位の財務取締役(約2755万円)、9位の財務担当者(約1849万円)と、3つもトップテン入りを果たしています。
 

他方で、日本では5位に入る法務従事者(約945万円)も、スイスでは15位に弁護士(約1618万円)、20位に法務従事者(約1566万円)と幾分低めで、これは同国11位・12位・14位を占めるIT関連職(いずれも約1600万円台)よりも下位の位置付け。
 

最後に、日本では8位の歯科医~20位の鉄道運転従事者の年収が全て600~700万円台ですが、これらはスイスの当該ランキングでは86位と最下位ランクのグラフィックデザイナー(約798万円)、87位の庭師(約766万円)、88位の美容師(約761万円)、89位の運転士(約748万円)、90位の客室乗務員(約732万円)、91位のコールセンターエージェント(約653万円)、92位の工場労働者(約626万円)とほぼ同等の年収になっています。
 

>次ページ:日本とスイスでは「物価」が違う


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