学生とは? 「生徒」「児童」との違い、使い分けや定義をアナウンサーが解説

「学校」で学ぶ人を表す言葉は、小学校なら「児童」、中学校や高等学校、専門学校は「生徒」、その他の高等専門学校や大学などは「学生」と、学校教育法や学習指導要領で使い分けられています。ただ、この分け方よりも広い範囲を表す場合もありますので、それぞれの正しい使い方を解説します。

「学生」「生徒」「児童」の違いは? 正しい使い方や意味をアナウンサーが解説
「学生」「生徒」「児童」の違いはなに? 

小学校や中学校、高等学校、専門学校、大学と、世の中にはさまざまな「学校」があります。そして、「学校」で学ぶ人を表す言葉も「児童」「生徒」「学生」とさまざまです。
 

今回は「学生」「生徒」「児童」の意味や、どんな場合にどの言葉を使えばよいのか、フリーアナウンサーの笠井美穂が解説していきます。
 

<目次>
「学生」「生徒」「児童」はどう違う? 
「学生」を大学以外で使う場合
「生徒」を中学校・高校以外で使う場合
「児童」を小学校以外で使う場合
「学生」「生徒」「児童」の使い方・例文
英語の「student」の範囲は?
どの「学校」なのかで「学生」「生徒」「児童」の呼び方が変わる
   

「学生」「生徒」「児童」はどう違う? 

学校教育法や学習指導要領では、「学生」「生徒」「児童」という表現は次のように使い分けられています。

・学生
学生は、短期大学や専門職大学を含む大学、高等専門学校で学ぶ人のことを呼びます。

・生徒
生徒は、中学校、義務教育学校の後期課程(小中一貫教育の後期3年間)、中等教育学校(中高一貫教育校)、高等学校、専門学校などの専修学校、特別支援学校の中学部・高等部で学ぶ人のことを呼びます。

・児童
児童は、小学校、義務教育学校の前期課程(小中一貫教育の前期6年間)、特別支援学校の小学部で学ぶ人のことを呼びます。
 
このように基本的には、どこで学んでいるかによって「学生」「生徒」「児童」を使い分けることができます。ただ、この限りではない場合もありますので、それぞれ詳しく見ていきます。

「学生」を大学以外で使う場合

「学生」は大学や高等専門学校で学ぶ人を指すほか、一般に

「学業を修めるもの」(「広辞苑 第七版」岩波書店)

という意味があります。
 

「学生服」は、大学生などが着る服に限ったものではなく、中学校や高校などで着る制服のことも指しますし、鉄道の運賃や入場料などで「学生割引」という場合、割引の対象は大学生などに限ったものではありません。
 

他にも、「学生時代」や「学生アルバイト」など、広く「学校などで学んでいる人」を指して「学生」と表現することがあります。

「生徒」を中学校・高校以外で使う場合

「生徒」は小学校を卒業した後、中学校や高校で学ぶ子どもを指しますが、辞書ではまず「学校などで教育を受ける者」(『広辞苑 第七版』岩波書店)と説明されています。
 

例えば、学校で先生が子どもを指導する場合「生徒指導」という言葉を使いますが、これが小学校であっても「児童指導」などと言い換えることはありません。この場合は、小学校でも「生徒」という言葉を使います。
 

また、塾や習い事などで学ぶ場合も「児童」や「学生」ではなく「生徒」を使うのが一般的でしょう。

「児童」を小学校以外で使う場合

小学校などで学ぶ子どものことを指す「児童」ですが、あらためて辞書で意味を確認すると次のように記されています。

子供:学校教育法では満六~十二歳までを学齢児童、児童福祉法では満十八歳未満を児童という。(『広辞苑 第七版』岩波書店)


児童福祉法では学校教育法とは違う年齢を「児童」と定めていることが示されていますが、このほかにも法律によって「児童」とする年齢は違います。例えば、児童虐待防止法や児童買春禁止法などが定める「児童」は18歳未満を指します。
 

また、労働基準法が禁じる「児童労働」でいう「児童」とは、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの子どもを指しますし、内閣府の定める「児童手当」の支給は中学校を卒業するまでの子どもを養育している場合が対象となります。 
 

こうした法律や制度では、「児童」は必ずしも小学生に限ったことではなく、さまざまな年齢の子どもが想定されていることが分かります。また、「児童画」や「児童書」、「児童公園」という場合も、厳密に年齢などが規定されているわけではなく、広く「子ども」を意味しています。

「学生」「生徒」「児童」の使い方・例文

「学生」「生徒」「児童」の用例を以下に挙げます。

「学生」の例文
  •  大学に入学して自由な時間が増えても、学生の本分を忘れずに過ごしたい。
  •  学生割引を受けるためには、生徒手帳か学生証を提示してください。
  •  彼はアルバイトを3つ掛け持ちしている苦学生だ。

「生徒」の例文
  •  地元の中学校の生徒たちが、公園の清掃を行った。
  •  このバス停は最寄りの高校の生徒がよく利用している。
  •  ピアノ教室の生徒による演奏会が開かれた。

「児童」の例文
  •  6年生の時に、児童会の代表委員を務めました。
  •  休みの日には、3歳と7歳の息子を連れて児童館に遊びに行きます。
  •  14歳の娘に暴行を加えたとして、児童虐待防止法違反の疑いで父親が逮捕された。

英語の「student」の範囲は?

英語で「生徒・学生」を意味する「student」は、小学生・中学生・大学生、どの範囲で使える単語でしょうか。

例えば、「私は小学生です」は「I'm an elementary school student.」、中学生であれば「I'm a junior high school student」、高校生であれば「I'm a high school student」、大学生であれば「I'm a university student」または「I'm a college student」と、「student」の前を変えることで、中学生か高校生かなど、表現を変えることができます。

基本的に、英語の「student」は、「学生」「生徒」「児童」ひっくるめて使うことができます。

どの「学校」なのかで「学生」「生徒」「児童」の呼び方が変わる

学校で学ぶ人を表す「学生」「生徒」「児童」という言葉は、基本的には、どの「学校」で学んでいるかによって使い分けられます。
 

小学校なら「児童」、中学校や高等学校、専門学校は「生徒」、その他の高等専門学校や大学などは「学生」です。
 

ただ、それぞれ、この分け方よりも広い範囲を表す場合もありますので、文脈に合わせて使い分けてみてください。


■執筆者プロフィール

笠井 美穂

笠井 美穂(かさい みほ)
福岡県出身。九州大学文学部を卒業後、KYT鹿児島讀賣テレビに入社。退社後は、報道番組を中心にフリーアナウンサーとして活動。これまでの出演は、NHK北九州放送局『ニュースブリッジ北九州』、NHK BS1『BSニュース』、NHK Eテレ『手話ニュース』、NHK ラジオ第1『NHKきょうのニュース』『ラジオニュース』など。

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