二級建築士が『オールドルーキー』新町(綾野剛)家を徹底解剖。癒され度満点ふんわりインテリアの魅力

テレビドラマのインテリア考察第4弾は毎週日曜日21時から放送の『オールドルーキー』(TBS系)です。主人公の新町亮太郎と里奈子、そして娘2人が暮らす自宅のインテリアはまさに家族の雰囲気を象徴しているようなやさしいテイスト。特に照明のレイアウトに注目します。(サムネイル画像:『オールドルーキー』公式サイトより)

テレビドラマに出てくるすてきな家や、インテリアの考察シリーズ第4弾。今回取り上げるのは、スポーツマネジメントという珍しいテーマを軸にしたドラマ『オールドルーキー』(TBS系)です。現役のサッカー選手生活を終えた主人公が、新しい世界へ飛び込み奮闘する様子が話題を集めていますね。

今回注目したのは、主人公とその家族が暮らす自宅のインテリアです。穏やかでやさしい雰囲気にまとめられていますが、中でも秀逸なのが照明の使い方。その魅力について、二級建築士・インテリアコーディネーター資格を持つ筆者がプロ目線で考察していきます。


>第1弾:二級建築士が考察『魔法のリノベ』第3話。テレワークスペース、収納棚、カーテンのすごい技と効果
>第2弾:『初恋の悪魔』馬淵(仲野太賀)の部屋を二級建築士が解剖。ワンルームでの家具レイアウトのコツ満載
>第3弾:『六本木クラス』長屋の会長室を二級建築士が徹底解剖。格式と遊び心の絶妙すぎるバランスに注目


 

『オールドルーキー』最新話・第9話の簡単なあらすじ


新町亮太郎 (綾野剛)がマネジメントを担当している水泳選手・麻生健次郎(渡辺翔太)が、大会後のドーピング検査で陽性となり、4年間の出場資格停止処分を受けてしまうことに。麻生は身に覚えがないと身の潔白を主張し、そんな麻生を亮太郎は信じますが、他の選手への悪影響を心配する高柳雅史(反町隆史)は麻生との契約解除を早々に決断します。

高柳の冷淡さに反発する亮太郎ですが、状況は好転しません。さらに妻・果奈子(榮倉奈々)もネット上で風評被害を受けていることを知った亮太郎は、高柳に相談なく麻生を助けるための行動を始めるのでしたー。
 

『オールドルーキー』新町家の自宅解剖(1)明るく淡い色合わせ

家具や内装の色がやさしい(画像:TBS公式 YouTubooより)

亮太郎と果奈子、そして娘2人が暮らす自宅のインテリアは、一言で表現するなら「やさしい」雰囲気です。天井と壁は白、床は明るいトーンのフローリング。やや太い幅のフローリングなのでゆったりとした印象です。

キッチンと背面の収納スペース、ダイニングテーブルやキッチン脇のワゴンはフローリングと同じトーンでまとめられています。

ソファやキッズスペースのラグ、フロアクッションなどにはグレーやパープルといった色を使っていますが、どれも全体になじみやすい淡いトーンなのでLDK全体がやわらかくやさしい雰囲気に。第2の人生で試行錯誤している亮太郎が癒される場所という象徴的なインテリアです。

インテリアのルールとして「使う色は3色まで」とよく言われますが、実際には3色にまとめるのはとても難しいですし、3色に抑える必要もありません。家具や内装といった大きな面積を占める場所の色を主張しすぎないトーンにしておけば、色の数が4つ5つと増えても乱雑な印象にはなりにくいですよ。
 

『オールドルーキー』新町家の自宅解剖(2)効率的な収納レイアウト

キッチンの裏側(ダイニング側)の収納スペースは使いやすい!(画像:TBS公式 YouTubooより)

新町家の自宅のキッチンは、短辺1面だけが壁に接していて、それ以外の3面は開放されているペニンシュラと呼ばれるタイプです。

家族と会話しながら調理ができるというメリットのほかに、ダイニング側を収納スペースにすることができるというメリットも。キッチンと同じ横幅で、奥行20cm前後のスペースが確保できるので、こまごまとしたものが散らかりがちなリビングダイニングの収納にはぴったりですね。

この部屋の場合、扉がないオープン収納と扉があるクローズ収納を組み合わせています。使用頻度が高いものはオープン部分に、見せたくないものはクローズ部分に収納するととても便利なレイアウトです。
 
子どもの作品は壁に飾ってギャラリー風に(画像:TBS公式 YouTubooより)

ダイニングの横にあるリビングには、キッズスペースがありました。こちらはガーランドが吊ってあったり子どもたちの絵が壁にたくさん貼ってあったりと、とてもにぎやか。ですがそこまで乱雑に感じないのは、同じサイズのバスケットを並べている、子どもの絵を飾る額縁の上端の高さをそろえているといったテクニックの効果と言えるでしょう。
 

『オールドルーキー』新町家の自宅解剖(3)間接照明でマイルドな明かりに

インテリアに合わせたやさしい明かり(画像:TBS公式 YouTubooより)

新町家がやわらかい雰囲気にまとまっているのは、色合いに加えて照明の力も大きいです。LDKの照明は天井面に埋め込む「ダウンライト」がメインですが、さらにダウンライトを補完する形で照明が追加されています。

1つはダイニングテーブルの上にセットされた「ペンダントライト」。上下左右に光が拡散する素材のシェードが使われた機種で、ふんわりとソフトな印象を与えています。

もう1つは、光源を隠すことでまぶしさがなく、天井面に反射した光を室内に拡散させる「コーブ照明」。キッチンの天井上部に設けられています。

やさしい色合いの家具や内装とのバランスがとてもいいですよね。
 
多灯配置は用途に合わせて使い分けができる(画像:TBS公式 YouTubooより)

キッチンとは反対側になるダイニング部分の窓の上部にもダウンライトが埋め込まれています。このように1つの部屋の照明を複数の照明器具で補う配置を「多灯配置」といいます。

LDKは家族のだんらんや来客のもてなし、テレワーク、読書、テレビ視聴やDVD鑑賞などなどいくつもの用途に対応する空間。ですから、用途に合わせて照明の明るさや色が調整できるよう、複数の照明器具を配置しておくのがおすすめです。


今回のインテリアは、一般家庭のLDKの実像に近いケースで取り入れやすいポイントがたくさんありました。9月4日最終回を迎える『オールドルーキー』、新町家のシーンをじっくりチェックしてインテリアづくりのヒントにしてみてくださいね。



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