転売しないという旨の誓約書の記入が求められる
2021年に発売されたランドクルーザー(300系)は、契約から納車されるまでの期間が4〜5年に達する。しかも販売店によると「メーカーの指示に基づいて、契約時には、お客様に転売しない趣旨の誓約書を書いていただく」という。誓約書の理由を開発者に尋ねると「ランドクルーザーをなるべく多くのお客様に買っていただくには、転売目的の購入を防ぐ必要があり、その趣旨に基づく誓約書を用意した」という。
ただし車両を購入したら、それはユーザーの財産だ。転売するのはもちろん自由で、差し止められるものではない。仮に転売した場合はどうなるのか。販売店に尋ねると「転売の事実が発覚した場合、そのお客様とは、以後の取り引きを停止させていただく」とのことであった。
つまり転売自体は止められないが「そのユーザーには、転売以降、車両を販売したり点検や整備をするのを断わる」という趣旨だ。
それにしても、ユーザーに誓約書を書かせたりするのは、失礼に当たらないのか。販売店に尋ねると以下のように返答された。
「お客様に誓約書を書かせることは失礼なので、できれば避けたい。またランドクルーザーのようにボディが極端に大きなクルマは、奥様が運転できないといった理由で、短期間で売却されることも珍しくない。このような場合、所有されているランドクルーザーを購入した販売店に売却すれば問題にならないが、買取店が高く買うと申し出れば、条件の良い相手に売りたいと考えるのはお客様として当然だろう。もともと矛盾があると思う」。誓約書については、販売店でも困っている様子だ。
ランドクルーザーと基本部分を共通化したレクサスLXも、納期は4〜5年と長い。ランドクルーザーと同様に誓約書を書かせているのか。レクサスの販売店に尋ねると「すべてのお客様に、転売しない趣旨の誓約書を書いていただいている」とのこと。対応の仕方はランドクルーザーと同じだ。
トヨタが「転売しない趣旨の誓約書を書かせる」と聞けば、転売が悪事のように聞こえるが、決してそんなことはない。いわゆる投機で、普通の経済活動に過ぎない。
問題なのは、ランドクルーザーを投機の対象になるような方法で市場へ供給しているトヨタだ。ランドクルーザーを妥当な納期で買えるように供給すれば、投機の対象にならず、ユーザーに転売防止の誓約書を書かせる必要も生じない。
メーカーが自ら投機対象になるような売り方をしながら、ユーザーの行為に縛りを掛けるのは、矛盾した話で著しく失礼でもある。こういう事が平然と行われている現状には、危機感を覚える。
Text:渡辺陽一郎
提供:WEB CARTOP
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