モーガン初の3ホイラーは1910年に登場していた

 モーガン。オールドファンにはなんともエモい響きにみちたブランドです。1913年の創業ですから、100年以上の歴史をもつ自動車メーカーであり、またものづくり企業としても稀有な存在といえるでしょう。そんな彼らのブランニューマシンは、なんと3ホイーラー! これまたエモいクルマを作ってきたものです。

 モーガン3ホイーラーといえば、その名の通り前2輪、後1輪で、後輪を駆動するクラシカルなスポーツカー。発売当初はバイクのエンジン(主にV型2気筒)をフロントエンドに搭載し、2名の乗員を小さなコクピットに詰め込んだ、ややもすれば「原始的」とも表現されるクルマです。
 

 それもそのはず、はじめてモーガンによって作られたのはメーカー設立前、1910年のこと。当時の税制で優遇された3輪自動車に目を付けたヘンリー・フレデリック・スタンリー・モーガン(H.F.S.モーガン)が、プジョー製2気筒エンジンを独自のフレームに載せたサイクルカー(当時はこう呼ばれていました)を製造。リトルスターと名付けて売り出したのがそもそもの始まりでした。

 この好調な売れ行きに、H.F.S.モーガンは自らの名を冠した自動車メーカー設立を決意。1912年にモーガン・モーター・カンパニーをスタートさせたのです。後にサイクルカーは4人乗りタイプや商用バンなどバリエーションを増やしながら、1953年まで40年以上も製造が続けられました。ちなみに、4輪スポーツカーのモーガン4/4が生まれたのは1936年ですから、初期のモーガンの屋台骨は3ホイーラーによって支えられていた、といっても過言でないでしょう。

 じつはモーガンが製造を中止したあとも、数多くのメーカーが3ホイーラーを作り、それぞれモーガンに劣ることのないマシンをリリースしています。例えば、宮崎駿さんが新車で手に入れたと有名な3ホイーラーはトライキング社によるもので、イタリアのバイクメーカーであるモトグッツィ製V型2気筒を搭載。カナダのカンパーニャ社は3ホイーラーを現代的かつ、フォーミュラマシン的に解釈したT-REXなる過激なモデルを作っています。岩城滉一さんが国内で走らせていたのでご存じの方も少なくないでしょう。

 

2011年にまさかの復活、そして2022年にフルモデルチェンジ

 また、シアトルのリバティモータースはモーガン・トリビュートモデルとしてリバティ・エースなる3ホイーラーを製造。ハーレーダビッドソンのエンジンを積んだエースは、その出来栄えの良さから本家モーガンの3代目社長チャールズ・モーガンに利権が買い取られ、なんと2011年には本家3ホイーラーとしてリバイバルされたのでした。

 その後も2021年まで3ホイーラーは販売が続けられたほか、EVモデルすら模索されましたが、パワーユニット供給元の不備から(モーガンは自家製エンジンを一度も製造していません)断念せざるを得なかったようです。

 が、3代目社長はへこたれることなく、EVモデル開発中のデータを巧みに生かし、まったくのブランニュー3ホイーラー、その名も「スーパー3」をリリースすることに! 最大のトピックスはフォードの供給する1.5リッター3気筒直列エンジンを、前車軸より後ろのボディ内に搭載したことでしょうか。
 

 また、EV計画の際に培ったモノコックシャシー研究も功を奏し、全長3.6mのボディは旧型よりわずか120mmしか全長が伸びていません(エンジン内臓になったにもかかわらず)。旧型と手法は異なりますが、アルミパネルによるボディも踏襲した結果、車重は635kgに収まるので、118馬力のマックスパワーでも野蛮なほどの走りとなること、想像に難くありませんね。

 さらに、イギリスらしいオプションとして、機能的サイドパニアやリヤマウントラックが用意されており、ミニマムな車体ながら大陸旅行だってチャレンジできそうです。この他にもツールボックスやカメラ、ウィンドデフレクターなど200種以上のオプションが選べるなど、実質的にオーダーメイドと呼んで差し支えないクルマといえるでしょう。

 価格は4万ポンド(600万円強)とのことですが、クルマでもバイクでもない乗り味と、3ホイーラーならではのルックス、そしてなにより「冒険心」を手に入れる値段としてはじつに適正な設定ではないでしょうか。

Text:石橋 寛

提供:WEB CARTOP 

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