ロッテ「チョコパイ」開発秘話! おいしい“半生ケーキ”はどうやって誕生したの?

ロッテのロングセラー商品「チョコパイ」。その歴史は39年にも及びます。開発秘話に迫りつつ、現行の「チョコパイ」7種を食べ比べてみました。

「ロッテの「チョコパイ」シリーズ

常温で流通させるお菓子には、どうしても味やクオリティに限界があると、素人でもよく分かります。しかし、こういった条件下で流通菓子の限界を超えるべく開発され、今日までロングセラーとなっているのがロッテの「チョコパイ」。その誕生は1983年となります。
 

チョコパイ開発の経緯をロッテ担当者に聞きながら、現行販売中の「チョコパイ」7種を食べ比べてみました。
 

「生地のおいしさを優先させるか」「日持ちを優先させるか」の間で試行錯誤が繰り返された!

しっとりとした食感とチョコレートのぜいたくな味でロングセラーとなったロッテの「チョコパイ」

実は1983年の「チョコパイ」誕生以前にも、他社から同様の商品がリリースされていたのだそう。ロッテでは独自原料を配合したケーキ生地を採用。50メートル以上の巨大なオーブンでケーキ生地を焼き上げ、ふんわり柔らかい食感に仕上げることに成功します。ただし、ここまでの開発は決して楽ではなかったとロッテ担当者は言います。


常温流通させることを念頭に考えると、ケーキ生地のようなしっとり感を追求すれば日持ちできなくなり、逆に日持ちさせようとすると、原料の水分量を抑えなければいけないためパサパサになってしまう問題がありました。「しっとりさ」と「日持ち」という良さを両立させ、見事完成にこぎつけたのだそうです。
 

ケーキ生地の中に滑らかなバニラクリームをサンドし、さらにケーキ全体を、チョコレートでコーティング。しっとりとした食感、チョコレートの風味の両方を楽しめる、画期的なチョコレートケーキ「チョコパイ」が完成しました。 
 

ロッテ担当者:1983年当時、日本ではヨーロッパの洋生菓子が続々と日本に上陸していました。「生洋菓子をもっと手軽に楽しむことはできないか」「生洋菓子にも負けない味を」というコンセプトで、研究と試行錯誤を重ねて誕生したのが「チョコパイ」です。口溶けの良いケーキ生地、優しい味わいのクリーム、そして全体をコーティングするチョコレートが三位一体となり、1個でも十分満足できるチョコレートケーキとなりました。「チョコパイ」の誕生により、当社では「半生ケーキ」というジャンルの開拓にもなりました。
 

「チョコパイ」が白を基調にしたパッケージである理由とは?

ちなみに、この「生洋菓子」の意識は、「チョコパイ」のパッケージにもおよびます。特別フレーバーを除く定番の「チョコパイ」が白を基調にしたパッケージになっているのは、洋菓子専門店のお持ち帰り用の「白い箱」をイメージしているからです。結果的に老若男女誰もが安心して食べられる商品となり、39年にもおよぶロングセラーにもつながっていきます。 

「洋菓子店のお持ち帰り用の白い箱」をイメージし、パッケージの色は白を基調にしているとのこと

2022年5月末時点でチョコパイは、7種ほどのシリーズ商品をラインナップしています(パーティパックなどを除く)。中のクリームを変更したり、季節の果実クリームを追加したものなど、「チョコパイ」のおいしさをさまざまな方向に広げたものばかりです。
 

「チョコパイ」7種類を食べて比べてみた!

実際に、「チョコパイ」7種類を食べ比べてみます。
 

まず「チョコパイ」。不動のおいしさで、噛めば噛むほどクリームの甘さ、ケーキ生地の優しい甘さ、コーティングされたチョコレートのコク深い甘さが口の中に広がります。
 

この完成された味を、さらに抹茶味に転じた限定商品の「チョコパイ<京都宇治抹茶>」は、全体に清涼感ある抹茶の風味を強く感じます。大人に喜ばれるであろう、奥深い味でした。

「チョコパイ」(左)と「チョコパイ<京都宇治抹茶>」(右)の断面図

さらに、「ハワイシリーズ」と称される「チョコパイ ストロベリー&マカダミアナッツ」「チョコパイ<パイナップル&ココナッツ>」は、ハワイでよく食べられているパンケーキを「チョコパイ」流にアレンジしたもの。クリームの奥底でストロベリー、パイナップルの甘酸っぱい味わいを楽しめ、ナッツの香ばしさがアクセントな印象。これもまたクセになる味です。 

「チョコパイ<ストロベリー&マカダミアナッツ>」(左)と「チョコパイ<パイナップル&ココナッツ>」(右)の断面図

そして、「チョコパイ」の口溶け感をさらに高めた「小さなチョコパイ」「小さなチョコパイ<濃厚仕立て>」。通常の「チョコパイ」が直径約65mmであるところを直径約45mmにサイズダウンし、ふた口サイズで食べられる工夫しています。
 

その味は濃厚で、よりチョコレート、ケーキ、クリームの一体感が高まった印象。サイズダウンでも申し分ないぜいたくな味を楽しめました。

「小さなチョコパイ」(左)と「小さなチョコパイ<濃厚仕立て>」(右)の断面図
通常の「チョコパイ」(左)が直径約65mmに対し、「小さなチョコパイ」(右)は直径約45mmです

「おもてなしチョコパイパーティーパック<あまおう苺>」は中のクリームにあまおう苺の原料が追加され、酸味とチョコレートがマッチ。デフォルトの「チョコパイ」とはまた違う味わいとなっています。この酸味もまたヤミツキ感がありました。

「おもてなしチョコパイパーティーパック<あまおう苺>」の断面図

 

ビスケット市場ナンバーワンの売り上げを誇る「チョコパイ」。さらなる未来へ

「チョコパイ」シリーズ全体で、2020年11月〜2021年10月までの累計売り上げはビスケット市場No.1とのこと(出典「インテージSRI+ ビスケット・クラッカー市場」)。この絶大な支持もまた、「チョコパイ」のおいしさを裏付けているといって良いでしょう。最後にロッテ担当者へ読者の皆さんへのメッセージを聞きました。
 

ロッテ担当者:小さなお子さまから大人の方まで、たくさんの方々に愛していただいている商品ですが、今後も季節限定の味やコラボ商品を出していく予定です。今後もお店で見かけた際にはぜひ手に取っていただければ幸いです。

「チョコパイ」のパッケージに掲げられた「ナンバーワン」の文字

6月28日には「チョコパイ レモンとカスタードクリームのプチシューケーキ」という新たな限定商品も登場。「チョコパイ」のさらなる進化と展開に今後も期待大です。



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