日本で販売されたのはSシリーズ

サターンというブランドがあったのを覚えているだろうか? GM(ゼネラルモータース)が展開していたもので、日本でも販売していた。ちなみに悪魔の場合はサタン(SATAN)で、こちらはサターン(SATURN)。アポロ計画のロケットの名前からとっているのでまったくの別物だ。

アメリカで設立されたのは1985年のことで、きっかけは当時問題となっていた日本車。コンパクトで安くて品質が良いことでアメリカを席巻していたが、これに対抗。さらにアメリカのディーラーはサービスがあまりよくなかったことから、この点の改善も目指していた。具体的にはディーラーの接客スペースの充実、値引きなし。納車セレモニーの実施など、ユニークなものも多かった。

最初のモデルとなったのが1990年に登場したSシリーズで、日本車を意識したサイズとデザインだった。ただ、ボディには修理費用の軽減などのために樹脂パネルを採用していたり、RX-8のような前後観音開きドアを採用するなど、クルマ自体もユニークだった。当初は故障が多発して多くのクレームが寄せられたが、次第に品質については向上している。



日本に上陸したのは1997年のことで、各地に専用ディーラーを建てての展開だったし、日本仕様として右ハンドルを用意するなど意欲的だった。「礼をつくす会社、礼をつくすクルマ」というキャッチフレーズも新鮮だった。ちなみに導入されたのはSシリーズのセダン/クーペ/ワゴンのみとなる。ディーラーでのサービスもアメリカに準じたもので、値引きはなし。ディーラースタッフの制服はポロシャツで、日本人は少々恥ずかしくなるような納車式も行われた。

マスコミでもいろいろと取り上げられ、感性の高い人たちが購入していたように思う。街中でもけっこう見かけたものだ。ただ、品質はそこそこだったし、肝心のライバルたる日本車の本拠地で売るには決め手に欠けていたのも事実。結局、2001年に撤退してしまった。



その後、アメリカでは展開していたが、2009年のリーマンショックをきっかけに消滅してしまった。ルノーなどと交渉はしていたようだが、買収するほどの魅力はなかったのだろう。また、品質面についてはウリだった樹脂製パネルが劣化して変形するなど、アメリカでも問題になり続けていた。コンセプトはよかったが、品質も含めて散々だったという感じだ。ただ、ディーラーサービスなど、他社も含めて販売品質の向上へ好影響を与えたのは確かで、この点では存在意義はあったと言っていい。


Text:近藤暁史

提供:WEB CARTOP

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