日本上陸から20年、3世代を重ねた「BMWミニ」

 かつてフィルム時代のコンパクトカメラに「コニカ・ビッグミニ」なる商品名のカメラがあった。大きいのだか小さいのだかよくわからないネーミングだ……などとブツブツ言いながらも、当時の筆者は仕事のメモ用に購入。シャッターを切ればほぼ失敗なく適正露出の写真が撮れたスグレモノ(笑)のコンパクトカメラだったので重宝し、「CONTAX T2」に買い替えるまで使っていた。

 勘のいい方にはすでにお見通しだろうが、日本の軽自動車よりも小さかった「クラシックミニ」を先祖に、BMWがブランドを引き取り、新生「BMWミニ」を登場させたのが2001年。そして2002年の3月2日(「ミニ」の日/この日本語的語呂合わせは、本国へは説明済みで理解されているという)、いまからもう20年も前のことだが、日本市場に導入されたのが初代(R50型)以降のBMWミニだ。
 

 

ドライブフィールまでしっかり先祖の雰囲気を再現

 そして冒頭でコニカ・ビッグミニを引き合いに出したのは、R50登場当初「ミニといってもぜんぜん“ミニ”じゃないじゃん」との無粋な声を見聞きしたからだ。なんと夢のないものの見方であることか……と感じた。

 たとえば後年「フィアット500」が「ヌオーバ500」のRRからFFに生まれ変わったのに対し、BMWミニは、ハッチバックであるかないかの違いこそあれ、「BMCミニ」が打ち立てたFF・2BOXスタイルを踏襲し、その意味で正統派セルフカヴァーだった。さらに実車に乗るとスポーツカー的な低いポジション、信号で停止線の先頭で止まると覗き込まなければ信号が見えないことがあるほど、天地に小さい立ったフロントスクリーン。ワザとか演出の一環かは不明だったが、引き締まって波打った路面でピッチングを誘発するサスペンションなど、まったく別のクルマどころか、ちゃんと先祖のミニの雰囲気を残していた。
 

 筆者は自分のBMWミニ(パークレーンという名の限定車だった)で、取材のため富山と東京を往復したことがあったが、クゥンクゥンと上下に身体を揺さぶられながらの片道300km強のドライブは、正直なところ辛いとも思った。反対に当時非ランフラット&ウインタータイヤのピレリを履かせたときには、サイドウォールのしなやかさも手伝い最良の乗り味だと実感した。
 

 

アクセサリーも星の数ほど展開

 話は飛ぶが、当初から純正アクセサリー類が星の数ほど豊富に用意されていたのも魅力だ。広報車(試乗・撮影用に貸し出される車両)ではオプションパーツ代だけで100万円超のパターンがミニではしばしばある。BMW方式でアルミホイールだけでも種類は多いし、ドアミラーキャップやキーホルダー、カフスボタンまで小間物まで含めるとじつに多彩な品ぞろえ。オーナーであれば、それらを選ぶのも楽しみのひとつだ。
 

 クルマとしては初代でクーパーS(R53)、コンバーチブル(R52)が登場し、第1世代のBMWミニとして足固めができた感じだった。ただし、(元オーナーの立場で言えば)やや重たいステアリング、クーパーの眠たいエンジンとCVTなど、不満点がないといえばウソになった。

 

2代目ではバリエーションが一気に拡充

 そうしたウイークポイントがシッカリと潰されて2007年に登場したのが第2世代だった。外観は道ですれ違いざまにオーナーでさえ新旧の判別に自信が持てないほどのキープコンセプトぶりだったが、だからこそミニであることは、すでに初代が証明していたようなもの。そしてこの2代目では、モデル(ボディ)バリエーションが一気に拡充したことが忘れられない。
 

 列挙するとハッチバック(R56)のほか、クラブマンおよびクラブバン(R55)、コンバーチブル(R57)、クーペ(R58)、ロードスター(R59)、そしてカントリーマン(日本名=クロスオーバー/R60)、ペースマン(R61)といった具合。庶民の筆者など「ちょうど7タイプあるなら日替わりで乗れる。もしも自分がプチ富豪ならば全車を揃えて車庫に並べたい」と思ったほど。
 

 このうち2シーターのクーペとロードスターは、ミニの代名詞の「ゴーカートフィーリング」を象徴するようなモデルで、老婆心ながら、それほど台数が出ていないようだったのが残念だったが、ミニの新境地に挑戦していた。

 それとクラブマンは、左右両開きのリヤのスプリットドアは斜め上方に開く角度まで往年のそれを見事に再現したもの。コンパクト(3世代目ミニで登場の2代目クラブマンはサイズアップした)ながら、センスのいい大人が似合うワゴン……そんな趣きがよかった。
 

 

いまや輸入車販売台数で6年連続トップの超人気ファミリー

 さらに2014年には3代目に進化。この世代ではベースのハッチバック(F56)に加え、意外にも人気を集めることとなった5ドア(F55)が登場。さらにクラブマン(F54)、コンバーチブル(F57)、時流に乗ったクロスオーバー(F60)がモデルチェンジを果たして登場した。
 

 ところでBMWミニで外せないのが、カタログが、いかにも見て楽しめるように凝った作りになっているということ。ショールームのCI(コーポレートアイデンティティ)とも共通の黒をベースにしたものだ。口で(文字で)お伝えするのは難しいが、どれもとにかくセンスのいいグラフィックデザインで、紙質、印刷も上質な(かなりコストがかかっているだろう)、手にして、ページをめくるのが心弾む行為になる……そんなカタログに仕上げられている。もしも実物をご覧になったことがなければ1度見ていただきたいが、この味わいこそ紙のカタログの真骨頂であり、タブレットやPCで見るWebカタログでは味わえない趣きなのだと思う。
 

TEXT:島崎七生人
提供:Auto Messe Web

【関連リンク】
BMWミニを合法の範囲内でド迫力のかっ飛びマシンへと変貌させる
デメリットもあるのになぜ? ロールス・ロイスやMX-30が採用する「観音開きドア」が存在し続ける理由とは
オラオラ顔全盛のいまでも根強い人気! 見るだけで癒される「丸目クルマ」たち
150万円でひと味違う日常が手に入る! 隣近所と被らないアウトドア向き中古輸入車3選
中古車価格高騰前に狙いたい! クラシック「ミニ」購入時にチェックすべきポイント3つ