「セリカ」じゃなくて「カムリ」でもない! かつて「セリカ カムリ」という謎の超短命車が存在した!

トヨタ・カムリは、とくに北米市場では売れている人気モデルだ。また、今では販売されていないセリカは、トヨタを代表するスポーツカーとして有名だ。そんな両モデルの名を名乗る「セリカ カムリ」というクルマがトヨタにあったのをご存知だろうか?

マイナーすぎるモデルだが重要な役割を果たしたセダンだった

 1980年1月に登場した4ドアセダン車の「セリカ カムリ」は、スペシャリティクーペとして人気を博したセリカと、現在も続く4ドアセダンモデルのカムリの両方の名前を冠したモデルとなっている。



 

 

 そのため、歴代セリカでも歴代カムリでもないモデルという扱いとなっており、現行型カムリが登場したときのプレスリリースにも、1982年に登場した「カムリ」を初代モデルと記載されていた。



 

 

 そんななんとも言えないポジションとなってしまったセリカ カムリとはどんなクルマだったのか、今一度振り返ってみたい。

 このセリカ カムリ、端的に言ってしまえばセリカの4ドアセダン版というキャラクターで、1977年に登場していたカリーナセダンの実質的な兄弟車。車両型式もA40系と2代目セリカや2代目カリーナセダンと共通となっていた。



 

 

そのため、現在までFFレイアウトを貫き通している「カムリ」とは異なるFRレイアウトを採用しており、カムリの歴史とはやや外れた場所に位置しているモデルということになる。

 ではなぜこのモデルが誕生したのかというと、当時セリカを販売していたカローラ店のラインアップを拡充するというのが狙いだったのだ。当時のカローラ店のラインアップではもっとも大きな4ドアセダンがカローラとなっており、もう少し大きなセダンが欲しいというユーザーを逃さないための苦肉の策というワケだ。

 実際のところ、セリカ カムリ登場のわずか2年後にはFFレイアウトの初代カムリが登場しており、当時すでにFFカムリの開発も進んでいたことを考えると、FFカムリが登場するまでの穴埋めとして急造したモデルという言い方もできそうだ。



 

 

 それを裏付ける事実として、1982年3月に初代FFカムリが登場するとセリカ カムリはすっぱりと姿を消しており、兄弟車であったカリーナセダンは1981年9月にひと足先に3代目へとフルモデルチェンジを果たしているのである。



 

 

 ちなみにこのセリカ カムリ、1980年8月からは同年春に新設された販売チャネルのトヨタビスタ店でも販売されており、82年3月にカムリの兄弟車であるビスタが登場するまでの間、ビスタ店のラインアップを守っていた。



 

 

 このようにセリカ カムリはワンポイントリリーフ的な立ち回りをしており、販売期間こそ短くマイナーな存在であるものの、ラインアップの穴を埋める重要な存在でもあったのである。

Text:小鮒康一

提供:WEB CARTOP

【関連記事】
「姿」はもちろん「名前」も怪しい! 超メジャーのトヨタなのに「思い出せない」歴史的マイナー車5選
不人気でもよく見りゃ超イケてる! 実力は「一級品」なのに「中古が安い」絶版国産セダン4選
【枝分かれした派生の名前がいつしかメインに!】サブネームから生まれたクルマ8選
中古車検索でも見つからない! 激レア中の激レア「カルタス・エスティーム」って何もの?

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

注目の連載

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『オッペンハイマー』を見る前に知ってほしい6つのこと。2つの用語、時系列、モノクロシーンの意味は?

  • どうする学校?どうなの保護者?

    なぜPTAで子どもの保険を扱うのか? 2024春、東京都Pが“別組織”で保険事業を始める理由

  • AIに負けない子の育て方

    2024年の中学入試は「弱気受験」だったというが…受験者増の人気校に見る、中受親の変化

  • アラサーが考える恋愛とお金

    仕事×子育てを両立できるのは「ごく一部の恵まれている女性」か。女性の社会進出という“風潮”が苦しい