いま登場したら売れること間違いなしのコンパクトSUVを紹介
個性派コンパクトSUV……そういう括りで捉えると、今どきなら、行き先で“映える”クルマかどうか……が基準か!? となるのかもしれない。だが、クルマの個性とは決して人の目にどう映るかということだけではないはず。むしろ、そのクルマを選んだ自分自身がその個性をどれだけ楽しめるか? 満足できるか? こそ大事だ。いわば“自分の気持ちに映えるかどうか?”である。今回はそんな視点から、懐かしめのモデルのカタログをピックアップしてみた。
スズキX-90
まずはスズキのX-90(1995年)。このクルマは筆者の仲間内でも割と“通”なこだわり派に好まれている印象だ。一応中綴じ10ページのカタログは作られていたが、3年少々と発売期間は短かった。初代エスクードのショートボディをベースにしており、ホイールベースは2200mmと共通。とはいえ“自映え”ポイントとしては、FRベースの4WDであったことと、2シーターのTバールーフ付きだったことなどで、同様のライバル車が不在だったことでも存在感が際立った。現役当時は欧州市場での人気も高かった。
スバル・インプレッサ グラベルEX
次はスバル・インプレッサスポーツワゴンに設定されたグラベルEX(1995年)。ベース車に対して車高を高め(最低地上高は185mm)、フロントプロテクターや背面スペアタイヤキャリアでSUVムードを高めたクルマだ。WRC由来の走行性能の高さは魅力で、AT車にはVTD−4WD、MT車にはビスカスLSD付きセンターデフ方式4WDを採用するなど、決して見かけ倒しではないところがスバルらしい。専用カタログは4つ折り。
トヨタ・ヴォルツ
トヨタ・ヴォルツはGMとの協業から生まれたモデルで、2002年に発売。北米で生産、輸入された。搭載エンジンは1.8Lの2ZZ-GE型または1ZZ-FE型で後者に4WDモデルも設定していた。実車は非常にレアな存在だったが、トヨタの緻密な設計・評価とアメリカナイズされたおおらかな走り、雰囲気がほどよくバランスし、肩のチカラを抜いて乗っていられるクルマだった。樹脂ボードでフラットになるラゲッジスペースやガラスハッチなど、実用性も高かった。
三菱パジェロio
ほかにパジェロ・ファミリーのコンパクトサイズのモデル、パジェロio(1998年)も、手ごろで落ち着いた雰囲気の好感度が高いモデルだった。写真はそのなかでもレアなソレントと呼ばれるモデルで、イタリア・ピニンファリーナ社がエクステリアや専用内装をデザイン。オリジナルキーホルダー(刻印を除けば確か同じデザインの市販品があった)付きだった。
スズキSX4
協業ということではもう1台、スズキSX4(2006年)があった。このモデルはフィアットとの共同開発車で、フィアット・ブランドではセディチとして発売されていた。スタイリングはイタルデザインで、SUVとコンパクトカーを掛け合わせた雰囲気は、最近のクルマにも通じるところがある。カタログ写真もヨーロッパの雰囲気。
日産ジューク
ヨーロッパでも人気を博したクルマとしては日産ジュークもあった。“あった”と書いたのは、日本市場では初代限りで、2代目は導入されずに終わったため。「クロスオーバーというよりミニなどのスポーティで個性的なクルマがライバルです」とは、デビュー当時の開発者の話だが、自身のコンセプトは“コンパクトスポーツクロスオーバー”だとしていた。とにかくまるでショーモデルをそのまま市販化したような奮った外観・内装デザインは楽しみ甲斐があり、バイクのガソリンタンクをイメージしたボディ色のセンターコンソールなど、乗ると気持ちをワクワクさせずにはいられない……そんな感じだった。
コンパクトでやや高めのアイポイントだったから街乗りでも扱いやすく、案外、年配のドライバーも多かったモデルだ。
トヨタ・ラッシュ
トヨタとダイハツの共同開発車だったラッシュ(2006年)も、コンパクトなSUV風モデルだった。このクルマもアイポイントが高く、乗り降りのしやすい着座位置ということから、案外と幅広い年齢のユーザー層に愛用された。決して派手さはなかったが、横ヒンジで開くバックドアや、数えきれないほど(!)の室内の小物収納ポケットなど、実用性の高さはポイントが高かった。
ホンダ・クロスロード
そしてもう1台、ホンダ・クロスロード(2007年)も忘れられないモデル。車名はディスコ(ランドローバー・ディスカバリー)がホンダからOEM供給されていた時代が初出だったが、2007年に登場したこのモデルは完全なオリジナル。コンパクトクラスながら3列/7人乗りを実現していた点がポイントで、窓まわりを深く面取りしたスクエアで飾り気のないスタイルは、筆者は非常に好感をもって見ていたクルマだった。アルミ真空パックで劣化を抑えたボトル入りの溶剤を備えた応急パンク修理キットを全車に採用。
サイドシルガーニッシュとドアロアガーニッシュを一体化させたデザインなど、スッキリとしたスタイルだったが、4年に満たない販売期間が何とも残念なクルマだった。
Text:島崎 七生人
提供:Auto Messe Web
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