アルミホイールはクルマの第二の顔と言っても過言ではない
機能パーツでもあり、クルマ全体のイメージを左右する重要なドレスアップパーツでもあるアルミホイール。レースの世界でも1950年代前半まではワイヤースポークのスチールホイールが主流だったが、1950年代後半になると軽合金ホイールが登場。1960年代に入り、フェラーリもマグホイールを装着するようになり、憧れのスーパーカーの足もとを彩ったのも、「カンパニョーロ」や「クロモドラ」(フェラーリのディーノに装着されたクロモドラが市販車用では初のマグネシウムホイール)だった。
当然これらのホイールは日本のクルマ好きにも羨望の的で、星形の「クロモドラ」のホイール、「タイプA」などは覚えている人も多いはず。
あとは「BBS」。今シーズンはF1に独占供給する「BBS」は今も昔も大人気。かつては「BBS」のロゴに似せた「885」といった海賊版が出回るほど! クロススポークデザインが有名で、世界で初めて航空機用素材の超超ジュラルミンでホイールの製品化に成功した「RI-D」など、つねに最先端のホイールづくりで注目されている。
国内でアフターパーツのアルミホイールが流行り出すのは、1960年代後半から。
「エンケイ」が1967年に国産初のアルミホイールを世に送り出し、翌年、フォーミュラカーのコンストラクターだった「RSワタナベ」が8本スポークの1ピースアルミホイールを製作。触るとザラザラとした無骨な鋳肌が走り屋たちには魅力的で、大ヒットの定番ホイールになる。
レーシングホイールといえば、ジュニアフォーミュラのFJ360やFL500、FJ1300のシャシーなどを製造していたレーシングコンストラクターの「ハヤシレーシング」が、1973年にレース用ホイールのストリート版としてリリースした「ハヤシ ストリート」も人気を博した。8本スポークのレーシングホイールが原形でいまでも購入可能。
往年の名作は今でも大人気で復刻する例まである
もうひとつ、レース直系のホイールで忘れられないのは、"日本一速い男"星野一義が立ち上げた「ホシノインパル」ブランドの処女作、 「IMPUL D-01」。のちに「シルエットG5」に名称を変更されたこのホイールは、当時人気のあったシルエットフォーミュラ(グループ5)のレースに、星野自身がドライブしたS110シルビアターボに装着されていたもの。十字手裏剣のようなアクの強いデザインが特徴で、当時のグラチャン族などが好んでいた。そして、「インパル」の十字手裏剣=シルエットG5といえば、近年復刻版が出て話題になった「ワーク・エクイップ」も忘れられない1本。これも十文字をモチーフにしたデザインで、ロングセラーに。
復刻版といえば、1970~1980年代、とくに4ドアセダン系に人気があった「ロンシャンXR-4(LONGCHAMP・XR4)」も! 元祖ディープリムの6本スポークといった感じで存在感は抜群。
それから「スピードスター」の「1円玉ホイール」こと「マークI」も印象的(写真一番手前)。「スピードスター」は1ピースが主流だった時代に、3ピース構造を売りにして、「マークI」、「マークII」、「マークIII」とバリエーションを広げ一時代を築いた。
また、この時代だと大胆な三角ディスクが特徴の「アドバンA3A」なども印象深い。アドバンカラーのTSサニーをはじめ、多くのレーシングカー、チューニングカーが装着していた。
1990年代になり、トヨタ、三菱、スバルのワークスが、グループAマシンでWRCを席巻するようになると、ラリーカーが装着していた「OZ」のホイールや、「エンケイ」のホイールにも注目が集まる。なかでもスバルワークスが採用していた「スピードラインコルセ」の「ゴールドホイール」がインパクト大。
スバル車といえばWRブルーに、「ゴールドホイール」というイメージが定着した(スピードラインコルセのゴールドホイールだけでなく、OZレーシングのゴールドホイールも人気)。この頃のラリー用ホイールは、冷却フィン(?)が付いているものも多かった。
同じ頃サーキットでは、軽さを武器にした鍛造ホイールが流行。「TE37」などが大ヒットする。
最近ではマットカラーが流行ったり、コンケーブが流行ったりする一方で、ホイールの選択肢はどんどん広がっているところ。今後も製法、素材、デザイン、サイズ、カラー、etc. とまだまだ変化・発展中のホイールなので、次の流行がどうなっていくのか楽しみだ。
Text:藤田竜太
提供:WEB CARTOP
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