即日洗わないと錆びちゃう? 雪道走行で塩カルが付着したらいつまでに洗車すべきか

雪が降ると道路に凍結防止剤が撒かれることが多い。塩化カルシウムが主成分であるため、クルマに着いたままにすると錆が発生しやすい。早いに越したことはないが、付着してからどれぐらいで洗えば間に合うのだろうか? おすすめの洗浄方法についても解説。

主成分である「塩カル」は錆の原因になりやすい

 雪が降ると、道路に凍結防止剤が撒かれることが多い。この凍結防止剤、あるいは融雪剤と呼ばれる粒状のものの主成分は、塩化カルシウム、あるいは塩化ナトリウムで、塩化マグネシウムなども入っている。

 塩化カルシウムが主成分なので「塩カル」と略されることも多いが、この「塩カル」、水に溶けると発熱する性質があるので、雪が降ったと面に撒くと、融雪・融氷効果がある。

 また塩化カルシウムは、水に少し溶かした場合の凝固点降下が大きく、塩化カルシウムの濃度が32%の水溶液は、マイナス51℃まで凍らないので、凍結防止効果に優れ、一度溶けた雪や氷の再凍結を遅らせる効果がある。

 しかもコストが安いので、凍結防止剤・融雪剤としてはもってこいの物質なのだが、「塩化カルシウム」という名称どおり、塩分をたくさん含んでいるため、じつはクルマとの相性はいいとはいえない。
 

 つまりクルマの大敵、錆の原因になりやすいということ。金属の錆は、金属が空気中の酸素と水分に反応して、酸化することによって発生する。このとき水分に塩分が含まれると、水が電気を通しやすくなり、錆が起きる反応が早めてしまう。

 塩分濃度でいえば、海水と同じ3%のとき、鉄はもっとも腐食しやすく、それ以上濃度が濃くなると、水の中の酸素濃度が低くなるため、鉄の錆びる速度は遅くなるといわれているが、「塩カル」の撒かれた道路上の雪水の塩分濃度は不明なので、雪道を走ったあとはできるだけ速やかに洗車して、「塩カル」を洗い流したほうがいい。それもボディの下まわりを重点的に洗うのがポイントだ。

 そのタイミングだが、早ければ早いほどいいに決まっているが、クルマの各部は防錆塗装や各種コーティングも施されているので、すぐに悪影響が出るわけでもない。

 アルミパーツなら鉄より腐食しづらいし、鉄製部品でも鉄の種類や塗装の有無によっても、耐腐食性には大きな差がある。

 

ガソリンスタンドの自動洗車機で「下部洗浄」を選ぶのがおすすめ

 ごく一般的な鉄の場合、たとえば釘などを高温多湿のところにおいておくと、1週間ぐらいで錆びてくるので、クルマの下まわりもできれば雪道走行後、一週間以内には高圧洗浄機などできれいに洗い流しておくのがいいだろう(鉄は高温・高湿度の方が錆びやすい。冬は気温が低いため、そういう意味では腐食が進みにくい。ただ付着してから時間が経った塩カルは固着して洗い流しにくくなる)。

 手っ取り早いのは、ガソリンスタンドの自動洗車機で「下部洗浄」のオプションを選ぶこと。これが一番のおすすめだ。
 

 雪国に住んでいる人だと、そんなに頻繁に洗車できないと思われるので、ウィンターシーズンに入る前に、ボディ下面に防錆剤をコーティングするのがいいかもしれない。

 たとえば日産ディーラーでボディ床下コートを頼むと、モコやマーチなどMクラス以下のクルマの床下全面施工で1万2100円。セレナやエルグランドなどLクラスのクルマでも床下全面施工で1万6940円。効果は約12カ月持続するといわれているので、年に1回施工して、下まわり洗浄は1~2カ月に一度、あるいはスタッドレスタイヤから夏タイヤに交換する時期にリフトアップし、ディーラーなどで「下まわりスチーム洗浄」を頼むのもアリだ。

 なお、塩化カルシウムを素手で触ると皮膚炎や肌荒れの原因となるので、洗車時はゴム手袋や長靴を着用のこと。目に入るのも危険なので、保護めがねもあった方が安心だ。

Text:藤田竜太

提供:WEB CARTOP

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