汚いクルマは事故に遭うリスクが高まる
昔から「フロントガラスの汚いヤツに運転が上手い者はいない」といわれているが、実際、きれいなクルマほど事故が少ない傾向が確かにある。
公益財団法人交通事故総合分析センターの調べによると、クルマの調整が悪かったために起きた事故のうち、クルマの清掃や車内の調整が悪かったことが、ドライバーの視界や操作に影響を及ぼして起きた事故が、全体の65%もあったとのこと。
クルマが汚いと事故率が高まる理由はいくつかある。まずフロントガラスやミラーが汚いと、視界が悪くて危険察知が遅れてしまう。
とくに内窓は、人の息や煤煙、手垢、喫煙家だとタバコのヤニが付着し、そうした汚れが原因で非常に曇りやすくなる。
またワイパーのゴムが劣化したまま運転するのもリスクが高い。安全運転の第一歩は、クリーンな視界の確保からだ。
次に車内の荷物が視界や操作に悪影響を与えた例もある。上記の「車の調整が悪かったために起きた事故」のデータでは、13%が「車内の荷物が視界、操作に影響」だった。
クルマの床に空き缶やペットボトルが落ちていると、何かの拍子にそれがペダルの裏に挟まって、ブレーキが効かないといったことも……。
また車内に余計なモノを載せておくと、クラッシュしたときや急ブレーキをかけたとき、それが車内の中で飛び跳ねて、乗員が怪我をする危険もある。
ダッシュボードに置いたスマホやサングラスが落ちて、それに気をとられてヒヤッとする例も珍しくないので、車内の整理整頓はけっこう大切。
ドアパンチや当て逃げをされるリスクも高まる
さらに洗車はメンテナンスの要といわれるように、小まめな洗車は、クルマの不具合の早期発見につながる。タイヤのキズや摩耗、オイル漏れ、サビ、ボルト・ナットのゆるみ、樹脂の硬化などと洗車で気づくクルマのトラブルはけっこう多い。
洗車をしながら、自分の手と目でクルマを知ることで、小さな変化にも気づくことができ、事前にトラブルを回避できる。
心理的にも、きれいなクルマは大事にしようという気持ちが働くし、クルマを傷つけたくないという気持ちが安全運転につながる。
反対にクルマが汚い人は、クルマの扱い、そして運転が雑になりやすいので危険度が増す。
駐車場に止めたときも、きれいなクルマなら周囲のクルマも気を遣うが、汚いクルマはドアパンチや当て逃げされる可能性も高くなる。検問や職質を受けることも汚いクルマの方が多いようだ。
ちなみに精神科の名医も、心を病んでいる患者さんに「まず自分の部屋を片付けなさい」とアドバイスすることが多いという。周囲をきれいにすることは、良好なメンタルを保つうえで非常に重要とされているからだ。
というわけで、クルマをきれいにしておくことは「運転マナー」、「運転モラル」と密接な関係があり、交通事故の発生率にも直結しているので、ボディは小まめに洗車し、車内にゴミや余計なモノを積みっぱなしにせず整理整頓。フロントガラスやミラー、ヘッドライトはつねにきれいな状態を保ち、ワイパーのゴムも定期的に交換し、運転に集中できるいい環境を整え、事故を減らしていこう。
Text:藤田竜太
提供・WEB CARTOP
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