ときを越えてゆったりする、ヒストリックカーならではの雰囲気

 数十年前の「クラシックカー」にあえて乗っているオーナーは、令和時代の日本でもかなりの数にのぼる。ガレージのなかでピカピカな状態をキープするのもいいけれど、なるべくあちこちに出かけて、さまざまなシーンを愛車と楽しみたいのが人情というもの。そのひとつの究極形が、アウトドアでのキャンプだろう。

 そこで、国籍も年代もさまざまなクラシックカーの仲間たちが集まって、秋キャンプをした様子をご紹介していこう。現代社会ではちょっとだけ「非日常」なクラシックカーのレトロな雰囲気は、「非日常」を楽しむアウトドア遊びとの相性がバツグンなのだ。
 

 

国籍もキャンプ歴もさまざまなオーナーとクルマをご紹介

 埼玉県秩父郡皆野町にある民営自然公園「リトリートフィールドMahora稲穂山」には、秩父平野を一望できる自然ゆたかなオートキャンプ場があり、気候とタイミングによっては雲海を眺めることもできるスポットだ。

 ここに10月某日、国産車、イギリス車、フランス車、ドイツ車など、10数台のクラシックカーが集まった。「ヒストリックカー・キャンプ」と題したこのキャンプは、千葉県松戸市にある「エンスーな」賃貸ガレージハウス「ジャコバンスクエア」のメンバーを中心に始まって、クラシックカー好きの輪を広げながら定期的に開催されている。
 

 実際のところ、きちんとメンテナンスしていて公道をまともに走れる状態でさえあれば、旧車といえどもアウトドアグッズを積んでキャンプすることはまったく何の問題もないし、特別なノウハウは必要なかったりする。

 参加したオーナーたちは勤め人や自営業などさまざまだが、別段「お金持ち」というわけではなく、そのクルマが好きで大事に手入れしながら乗っている人ばかり。ただ、今どき「あえて」クラシックカーに乗っているだけあって、キャンプ道具やスタイルにはこだわりがある人も多い。

 土曜の昼から集まってサイトを設営したら、あとはそれぞれのんびり過ごしたり、気ままに集まったりして、ゆったりした時間。クルマ好きたちのキャンプだけれど、クルマと関係ない話題の方がむしろ多かったりする。
 

 古いクルマだと半世紀も前、新しいクルマでも昭和の時代。クラシックカーに乗ると、レトロな車内から外の風景を見ていて、ちょっとしたタイムマシン気分を味わえるものだ。そんな旧車ばかりでキャンプをしていると、そこはときを越えた異空間になる。現代社会の慌ただしさから離れてリラックスするには、最高というわけだ。

「ヒストリックカー・キャンプ」に参加したオーナーはキャンプの初心者からベテランまで幅広い。そんな皆さんのクルマとサイトをご紹介していこう。
 

 

1994年ミニ(Mk.III仕様)

 大森さんは今年8月にクラシック・ミニを買ったばかり。ずっとボルボに乗っていたそうだがコロナ禍でテレワーク体制となり、週に数回だけ都内にクルマで出社することになっため、小回りがきいて走って楽しいミニを選んだというわけだ。

「初めてミニにキャンプ道具を積んできましたけど、助手席まで使わないでひと通り積めました。フツーのクルマと同じくらい積めますね」

 ミニのコンパクトきわまる車内に、「MSR」のテントや、タープ、テーブル等々、コンパクトに折り畳めるキャンプギアを選ぶことで、大きく快適なサイトを構築したのだった。
 
 

 

1967年MGB GT

 24歳にして初めての愛車がブリティッシュ・スポーツカーの代表格「MGB」のクーペ版「MGB GT」という佐々木さん。このモデルに惚れこんで探した末、個人輸入したというのだから筋金入りだ。

 この日はキャンプ場に来る途中でマフラーが落ちかけて、針金で固定して無事に到着。
「アウトドア好きの友だちと年に数回キャンプに行っていますが、ひとりでテントを立てたのは今日が初めてです」とのことで、友だちから借りた「ノルディスク」のテントを設営。
 
 

 

1967年オースチンJ4ドアモービル・キャンパー

 クラシックカー好きのカメラマン奥村さんは、極めて希少な「オースチンJ4」のキャンピングカーで参加。1967年製で翌年に当時オースチンの代理店だった「キャピタル企業」が輸入登録した個体だ。

「前のオーナーさんが82歳のときに譲ってもらったんですが、よく高齢者が運転できたなと思うくらい、操作系は重くてかったるいです(笑)。愛犬ベスと一緒なのでローテーブルのキャンプが多いですね」

 サイドタープをつくって快適な空間を確保。写真左の青いコンロはフランス「キャンピングガス」製の「ジェラール2000」、1950年代~60年代のランタンなどグッズも古めのヨーロッパ物を用意してきた。大きなキャンピングカーゆえ、夜は愛犬と一緒に車中泊だ。
 
 

 

1970年ハコスカバン

 今回唯一の国産車、「ハコスカバン」でキャンプに参加した東京のハコスカ専門店「VICTORY50」代表の内田さん。自らハコスカのステアリングを握ってヒストリックカー・レースで活躍している一方、じつはアウトドアの達人でもあり、ボーイスカウトの指導員をしていたこともあるほど。

 バンゆえ車内は広く、そのまま快適に車中泊OK。広いルーフを利用してサイドタープを張り、美味しい料理をふるまってくれた。

「古いクルマでもちゃんとメンテナンスしてれば元気に走って、こうやって遊べるというのをもっと知ってほしいですね」
 
 

 

1962年フォード・ファルコン

 これも日本で見ることはめったにないクルマで、フォード・オーストラリアが製造していた「ファルコン」。オーナーの諏訪さんは賃貸ガレージハウス「ジャコバンスクエア」の仕掛け人だ。

「クルマが1962年式なので“カナディアンロッジ”タイプのテントも近い時代でそろえました。細かいアイテムは、今はアウトドア雑誌の付録が使い勝手もよくていいですね。“オピネル”のナイフは二十歳のころから使っているものです」
 

 

1974年フォルクスワーゲン・バス・ウェストファリア・キャンパー

 キャンプの大ベテランである阿部さんは、クラシック・キャンピングカー界の横綱、フォルクスワーゲン・タイプ2、通称「バス」で参加。ドイツのキャンピングカー架装の老舗「ウェストファリア」社によるキャンパーだ。

「この1974年式から“ポップアップテント”の寝床がハンモック式から天板式になり、快適に眠れるのでベストです。同じ年式のキャンピングトレーラー“エリバ”も持ってますよ」

 ランタンもビンテージ物「コールマン」や60年代フランスの「コンフォートランプ」、軍用バーナーなど用意して夜のアウトドア・バーを演出し、温かい食べ物を参加メンバーたちに提供してくれた。
 
 

 

1984年シトロエンCX

 ここからはフランス車編になる。まずは極上の乗り心地で有名な「ハイドロニューマチック・システム」と未来的なデザインが特徴的な名車「シトロエンCX」だ。

 オーナーの小安さんはほかにもっと古い「シトロエン・トラクシオン・アバン」や「オペル・カスケーダ」なども所有するクルマ趣味人だが、キャンプはまだ数回のビギナー。でも「ケシュア」のワンタッチテントを選ぶことで、ストレスなく設営できたようだ。

「このCXはディーゼルターボの5速MTなんです。“コールマン”のキッチンも折り畳んだ状態で、難なく積んでくることができました。
 
 

 

1993年ルノー4

 実用的なフランス・クラシックカーの代表選手といえるのが、1961年から1994年まで生産されていた「ルノー4(キャトル)」。渡辺さんの「キャトル・サバーヌ」は1993年生産の最終ロットで、ボディサイドにブルーのラインとナンバー「78」が付いている。

「独身のときは“トライアンフTR4A”だけでしたが、結婚してから足グルマとしてこのキャトルを選びました。買ってすぐにスーパーマーケットに行きましたよ。あくまでも“普段使い”することがこだわりです」

 テントは「MSR」製を愛用。同ブランドの最新型も買って今回のキャンプで初張りするつもりが、忘れてきてしまったとのこと……。
 
 

 

1983年ルノー4

 同じく「ルノー4(キャトル)」で参加した多田さんご夫妻。かれこれ16年ほど前に不動車だったキャトルを買ってきていろいろイジって動くようにし、入手してから合計16万kmも走っているそうだ。使いこんだ道具ならではの雰囲気も好ましい。なお、ランタンスタンドはさりげなくビンテージ物の「パイルドライバー」。

「このキャトルでは初めてのキャンプです。昔、フォルクスワーゲン・タイプ2の“ウェストファリア”キャンパーをもっていたときにキャンプ道具は色々そろえていましたので、テントやチェアなどを今回のために用意しました」
 
 

 

1991年ルノー・エクスプレス

 現在日本でのルノー人気を支えている「カングー」の先祖にあたるのが、1985年に登場した「ルノー・エクスプレス」。ハッチバック車の「シュペール5(サンク)」に四角いハコのような荷室を付けた「フルゴネット」だ。

 畠山さんは「サンビーム・スティレット」というイギリスのスポーツカーも所有してヒストリックカー・レースで走っている一方、バイクのレースも楽しんでいて、バイクを積んで走るためにこのエクスプレスを購入。後席を取り外して荷室を拡大したため、アウトドア遊びにも大活躍してくれているのだった。購入してからバンパーをブラックでペイントして「ドレスダウン」しているのも、昨今の流行を先取りしている。

「わざわざヒストリックカーを選んでいる人たちは物にもこだわってる人が多いので面白いですね」
 
 

 

1974年フォルクスワーゲン・ビートル(入院中)

 愛車のビートルが修理中のため、代車の軽自動車で参加した甲斐さん。「その分、ビンテージテントをふたつもってきました(笑)」

 テントはともにレアなビンテージテントで「ウォーラス(Walrus)」と「モス(Moss)」。チェアは「バイヤー(Byer)」などなど、こだわりのアウトドア道具の数々を持参してくれたのだった。
 

TEXT:Auto Messe Web編集部 竹内耕太 
提供:Auto Messe Web

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