イタ車だからといって身構える必要なし!

 最近は環境や燃費についてシビアな時代だけに、スポーツカーと言えども市販車では過激な足付けは鳴りを潜めているのが現状だ。仕方がないのだが、そのなかで気を吐いているのがフィアットのアバルトだ。イタリア車のチューニングブランドと言うと、アバルトがまず思い浮かぶほど。期待を裏切ることなく、エンジンの味付け、乗り味はまさにジャジャ馬だ。
 


 現在はフィアットが持つブランドのひとつだが、1970年代前半までは独立したメーカーとして実用車をチューニングして過激なモデルに仕立てたり、小排気量のプロトタイプを作りして、レースなどで暴れまわり、アバルトマジックという言葉もあったほどだ。

 

走り好きを虜にするアバルト

 現在でもそのコンセプトはまったくと言っていいほど変わっておらず、グランデプントや124スパイダーなど、いくつかの市販モデルをリリースしていて、スポーツカー好き、走り好きを虜にしている。なかでも人気があるのが、アバルト500だろう。
 


 ベースとなるのは可愛らしいチンクエチェントで、2代目フィアット500をベースにしてチューニングが施された往年のアバルト595や695のイメージそのまま。リトルダイナマイトと呼ばれた当時の雰囲気を、走りだけでなくスタイルでも引き継いでいて、かなりワクワクさせる味付けになっている。
 


 イタ車専門店で聞いても「イタリア車好きだけでなく、スポーツカー好きもユーザーには多い」というほどで、従来のラテン車好き以外にも刺さるクルマとなっている。

 

価格の対価として見ても十分な魅力がある

 かなり心ときめくモデルなのだが、問題がひとつある。それが価格だ。さまざまなスペシャルモデルや追加のエッセエッセキットなどは別としても、新車の目安となるのが300万円ほど。これは最初期のアバルト500から同様で、諸経費を入れると350万円は見ておかねばならず、対価として見ても十分な魅力があるのはわかるものの、けっこうな負担だ。
 


 となると、中古車で楽しめないかと思うのが人情というもので、最近の価格帯を見てみると、かなりこなれてきている。2009年が最初期で、このあたりだと乗り出しで100万円に収まる個体もけっこう出てくるし、車両価格だけでなら、その数はさらに増える。けっこう街中でも見るモデルだけに、タマ数がそこそこあるのはうれしい。

 

デメリットは10万kmを超えた車両が増えてきていること

 ただ気をつけたいのは、年式的にすでに10年以上は経過しているので、走行距離が10万kmを超えているのは当たり前ということ。若干切るものもあるが、それでも9万kmあたりになってしまう。この点をどう考えるかだが、長年の経験からするとイタ車の場合、走行不能になるような深刻なトラブルは意外に少ないし、よく耳にする電気系や冷却系が弱いというのも最近のイタリア車には当てはまらない。
 


 さらにMT車がほとんどというのも心強い。イタフラと言えば、ATのトラブルは定番のひとつで、MTを選ぶだけでリスクは減らせる。そのほか、細かいトラブルも発生することがあるが、「イタリア車とはそんなもん」と深刻に考えないのがコツだ。

 購入時はとにかく店選びが大切で、車体の状態はもちろんのこと、トラブルの傾向などにある程度通じているところで買うようにしたい。広く浅くなんでも取り揃えているようなショップに置かれていることもあるが、アバルト500の内容について詳しくないなら、避けたほうがいいだろう。

 

維持する環境として整っていれば問題なし!

 もしどうしても欲しいなら、事前にネットなどですでにユーザーになっている人からの情報を集めたりしたりして、後先考えずに買ってしまうようなことはせず、よく見たり、聞いたりしたほうがいい。つまり走行距離は多いながらも、そのなかでベストを探すようにする。

 購入後だが、欧州車でも部品の供給環境が最近は少し悪くなっているが、10年少々落ちなら問題ないし、イタ車のメンテや修理を得意とする専門店もけっこうあるので、維持する環境として整っていると言っていい。最終的には、なんかあったら捨てればいいまでは言わないが、あくまでも100万円で買ったクルマということで、気軽に付き合うのもコツだ。

Text:近藤曉史
提供:Auto Messe Web

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